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[総身を打つ火花の極彩色は、
原色を失ったこの世界、この歓ばぬひとときに
異様に咲き誇る ―――― 【 grotesque 】.
いちど拒まれたかたちの抱擁は、
マティウスの言葉の意味が沁みる頃に――――
旧き友が、
その胸に、外側へ裏返る肋骨の華を咲かせ
心臓残す四臓六腑を、背の生皮透けるまで
灼ける手指で執拗に掘り尽くしたその*頃に*。]
[憎むべき相手の死。
だが、それが他者の手によって為された事により、虚脱感に襲われ手が離れそうになった。
それでも、壁にへばりつくようにして、どうにか地上まで辿り着き]
あ……たしの……
翼……報い……。
[ふらり、と近寄る視線の先。
標的の心臓が、赤黒き林檎の如く、その姿を晒していた**]
[異形者達が集まっている街の一角より、
視点は暫し移動する――――。]
[屋上庭園が在ったビルは既に酷く壊れ、
生い茂る美しい庭園は、更に崩れていた。
ビル下部で行われた爆弾や銃撃戦の痕、
未だ辺りに粉塵漂わせているものの、
先の争いの血痕を隠す程ではなく、
彼等街の住人の遺体回収は完全ではない。]
[実験体0331号が進行した通りは、
毀れかけた槍で貫かれた人々によって、
血溜まりの路となっていた。
成る程、恐れて通らぬが安全な路ではある。
砂塵の街の所々から黒煙立ち昇り、
朝日を迎えれば更に詳細な被害が分かるか。
今日も明日も変わらぬ、
壊れかけた世界の朝日を迎えれば。]
[曇天にて、夜闇はいまだ濃い。
街の幾つかの場所で火が焚かれ、
街の住人達は暖を取りながら、
まんじりともせず囁き交わされる情報に耳澄ませる。]
[恐怖が滲んではいたが、恐慌を来たす事はなかった。
ミョイネン老の卓越した話術によって、
街の意志は統一されていたからだった。]
[砂塵の街の片隅に、ボロボロの情報屋がある。
店の名は、『カレワラ』。
どこかの国の古い民族叙事詩の名をもつそれは、
20歳に達するか否かのたった一人が営む、
この街の『神経』であった。]
[どこかが痛めば、即座に知り。
どこかが安らげば、瞬く間に広まり。
それを掌握し、導き、誘い、
それは今、たった一つの『意思』に集約されていた。
ざわり、ざわりと空気に粟立つように、
五つの感覚機能で全てを感じるように、
たった一つを、何の能力も持たない人間たちが、待ちわびている。]
[幾分かはまだ丈夫さを保つ二階建てのビルの窓から、
焚かれる篝火の一つを、情報屋は見下ろしていた。
傍に控えるは、ボロを纏う双生児。
細かに出す指示の一つ一つに全く同じ頷きを返されながら、着実に準備は整えられていく。
空が再び朱に染まるまでは、まだ遠く。
オイルランプの灯りに照らされながら、じっと機を待つ情報屋は、店の奥より持ち出したファイルの解読に取り掛かる。]
cast
―――――
供儀 ドロテア all member
情報屋 カウコ lalan
実験体0331号 マティアス kkr
蝮の娘 ウルスラ はまたん
軽業師 レーメフト Lastname
執行人 サンテリ nacht
有翼人 アイノ suzukake
世間知らず ベルンハード hotoke_love
賞金稼ぎ サーディ slap1101ysk
生存者 ラウリ arina
音楽 Your own Love Music
脚本 all member
企画 kkr (thx, lalan.)
Special Thanx for sebas ―― and you.
[ぐらり]
[マティウスに圧しかかっていた軽業師の
上体が一度大きくのけぞって…天を仰ぐ。
胸に抉れた傷へ沿うていた
旧友の手はぱたりと落ちる。]
[燃料が尽きかけていた炉は火が落ちて。
身の裡に融けた、かの執行人の片手剣が
冷えゆくまでがいま暫くの熱源となる。
身を浸す喪失感が、熱さと痛さの境を儘に教える。]
…
( ― 死んではいないよ ― )
[鮮紅色の動脈血に両肘までぬめる手が、
アイノの視界でふら ふらと揺れて語る。]
( ― 生きてもいないが ― )
[――その間にも、実験体"0331"の細胞は震え
崩したジュレのようだった胴が再生をはじめ]
( ― 時間は あんまりないよ ― )
( ― …アイノ ― )
[男が有翼人に差し出させたのは"堕天"の実。
ふらと身を起こして其の人へ場を譲り――甘く唆す。]
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