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[入ってきた男性(>>7)には一礼を。まだ名乗っていない人物らには、改めて名乗った。電話を終えて管理人が話す、崖崩れについての事を聞き]
崖崩れ、ですか。一本切りの道が塞がってしまい……
しばらくは外へ出られそうにない。成る程。
これも彼らの仕業ですかね。
[落ち着いた調子で零す。ペケレが場を離れた事に気付き、出入り口の方を見やる。開かれた扉。シャッターを切る姿と、咲き誇るハナミズキとが視界に入り]
頼むぜ相棒。
バケモンを纏めて炙り出してくれや。
[鞄に視線を落とす。羽根ペンと手帳は返事を返すかのようにかさかさ動いた。]
これは……
[椀と箸を脇に置き、代わりに傘を手にして其方へと駆け出した。ペケレよりも後ろから外の光景を見据え、傘の持ち手を握り締める。
表情は真剣に、何かを*考え込むように*]
[管理人の言葉に思案顔]
はて、どうしたものじゃろか
……ほう?
[扉から吹き荒れる風に帽子を飛ばされつつ、シャッターを切る写真家の向こうに見えるピンクに視線は釘付けになり、思わず感嘆の*息を漏らした*]
そんな・・・ハナミズキがこの時期に咲いてるって?
[箸をおいて窓辺に近づいて外をみる]
…というか 満開じゃないか?
此処に来た時は…まだ蕾も膨らんでなかったのに?!
[驚いたように窓の外を見つめる]
- 回想・割り当てられた家屋 -
〔自然は人の思惑の範疇など軽々と超える。
其れは杏奈にとって大きな誤算となり襲った。
頭の中に浮かぶ二つの壁の前に〕
―― … ふざけてる。
〔口癖の様な言葉と舌打ちという、悪態をついた。
一つの壁は、彼女の前に立つ家屋。
手持ちランプの灯りを受け
ぼんやりと佇む家屋は、異形。
常であれば然程恐ろしさも無いものの、
暗がりであれば余計であった。〕
……。
〔ごくり、と息を呑む杏奈。
そして、襲い掛かる二つ目の、壁。
其れは何よりも高く、険しい。簡単な事だ。
この家屋に、一人で入らねばならない、事。〕
だいたい、何。
電気まで止めちゃうなんて時代遅れもいい所。
いいじゃない、電気ぐらい。
良い場所なんだもの、タダで寄越しなさいよ。
〔そして、恐れが伝わるのは言の葉。
無茶な要求を、受け取る事の無い夜空へ。〕
〔杏奈自身が選んだ道なれど、
立ち塞がる現実は一匹狼を好む彼女すら、
戸惑いと恐怖でその足を竦ませた。〕
……ッ
〔ゆっくりとランプの電源スイッチに
伸びる手は、寒さからか微かな震え。
そして震えはその灯りを闇に帰した。〕
…すぅ、…はぁ、…すぅ
〔杏奈を包む、闇。
しかし、杏奈は既に瞳を閉じた後だ。
助走の様な深呼吸を繰り返す。〕
〔暫しの間を経て、意を決した瞳が強く開く。
つかつか、と歩み寄ると手の中の鍵を、
必要とする家屋の其れへ差し込んだ。
そして、乱暴に回す、回す。〕
…っ、このッ
さっさと開きなさいよ、オンボロっ!
〔別に其れがボロであったかどうかより。
ただ単に杏奈自身の焦りがそうさせたのか。
中々に鍵は上手く開いては呉れなかったが〕
あっ…!
〔かちりと音を立てて開いた其れに、雪へ溶けて、消えてしまいそうな程の、笑顔を見せる。〕
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