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なあじいさん。人って……不老不死になりたいもんかな。いや、なんでもない。
[真面目な顔して言った。
白い貝殻を見て]
これ、アンの、だよな。結局、なんだったんだか。
[漏れる、嘆息。
ドウゼンに礼を言うと診療所を出る]
んなぁ〜う。みゃあ〜う。
[何度か鳴いても相変わらず校長が気付かない様子を見れば、
そろり。しなやかな動きで通夜の行われる間を抜け出して玄関へと。
開放されている玄関の外に見えるは相変わらずの雨模様だが、今は昨日程には雨音も強くない。]
……みぃ。
[ぺろぺろと毛繕いを終えれば、家の外へ]
……すみません。
[校長宅に行ってありのままを伝えると、悲しみに暮れるまま「準備」をする其処を後にした]
[ケンがどうなったか、気にならないわけではないし
フユキにも行くと伝えていたから。]
―翌日・蔵―
[そろりと歩いていって、神輿と臼の間を通り抜けた頃には、かび臭さと暗さには慣れていた]
雷神様に怒られるぅ……
[しんと冷えた空気。
一番奥に、その木箱はあった]
[診療所に着くと、すぐにケンとナオの死を聞かされる]
!?
……そうですか。
[ケンに関してはまだ覚悟もあったが、
まさか吊り橋にいなかったはずのナオまでもが死ぬなんて]
[急に実感をなくしたホズミは、それしか言えなかった]
――茶屋――
[なるべく雨を避けて移動してもやはり体はいくらか雨に濡れる。茶屋の老婆が濡れた体をタオルで拭いてくれるのは雨の日にはよくある出来事]
なぁ〜う?
[きょろ。きょろり。
と茶屋の中を見れば、老婆はご主人は忙しいようだねと、今はヘイケも出かけているから遊んでもらうのは無理かもしれない、そのような事を猫に話し、そろそろお腹のすく時間かと、甘納豆を数粒分けてくれる。空腹の猫がそれに口をつけるのを確認すれば老婆は再び店の奥へと戻っていく]
………
[こくり、と口の中の甘納豆を飲み下すと、老婆が戻っていったのとは別の方向……店の中の一点をじーっと見つめた]
なぁう?
その貝殻も夢の産物だったりとかする?
[何気なく尋ねながら]
私が床屋じゃなくて記者だったら解決できるのになー。
[わざと冗談めかして言う]
うん、この村で……割と最近……
[もどかしげにしばらく考え込んでいたが]
あ、そうだ!夏祭りのときに!
神輿の飾りにあんなのがついてなかった?
山奥の村なのに貝殻って不思議だって、[告げ人 アン]と話してて。
んなぁ〜う!
[見つめていた一点のほうへ、とてとて歩む。
ぐるり。と一周小さな円で囲んで]
にゃあ〜う。
[ちょこん、と円の中心を向いて座った]
[木箱に頬つけたまま鍵をまさぐると、鉄のにおいがした]
校長先生も、鍵知らないって言うなら。
どこなのかな。
[左手を口元に運び、親指の爪を噛んだ]
鍵……
オレの夢ならどうとでもするんだが。
そうだな、オレが女だったら、事件解決する可能性もあったな。
[ホズミの冗談には、小さく笑って。冗談らしく、妙なしなを作って見せた。せくしーぽーずらしい]
……御輿? そんなもの、ついてたか?
[思い返そうとしたが、記憶の映像は常にピンぼけだった]
確かめてみるか。アンが大事にしていたなら、なんか理由があるのかも。
御輿、蔵だったか?
[診療所から蔵に向かう]
にゃあ!
[空間へと元気に鳴く。
しかし、しばらくすると首をかしげて]
みゃあう〜〜……。
[ちらり、と様子を伺うように見て、栗甘納豆を頬張る。猫が少し申し訳なさそうな様子である事は人間からも感じ取れるかもしれない
はむはむ、ごっくん]
工具箱!
[立て付けられた戸棚に箱を見つけた。
限界以上に背伸びをしてやっと手にしたそれを開くと、その中には――]
輪ゴム!赤青黄色綺麗なのよ!
確かにこんな山奥で貝殻っていうのも、なんだろうな。アンは……貝殻返しにきたのかな。
[ぶつぶつと、思考を垂れ流しながら、蔵へ]
……お?
[蔵は、開いていた。それも、少し意外だったけれど]
傘?
[入り口に立て掛けられた傘は、見覚えのある、色。一度、ホズミを振り返って。
反射的に足音をひそめてしまうのは、何故だろうか。足音が消えるわけでもないのに]
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