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…「夢」は。
行動するための動力源ではあるが、それを掴むまでの道は簡単なものではない。
辛いことも、壁にぶつかることも、ある。
現実では、それが当たり前とも言える。
だが……
それを、乗り越えられた時。
少しずつ、「夢」に近付いていけるのだと、思う。
[現実を見据えるような言い方。
けれど、今までの男ならば、人に対してこのようなことを言うことは無かったはずだ。
それを口にしたのは、自身が抱く「夢」を、『たからもの』を思い出したが故]
君は、「夢」を追いかけている間は。
辛いことばかりだったか?
[そうは思わない、と男は言うように問いを重ね。
意識を児童公園に滲む色へと移す]
[真っ先に七咲に駆け寄ったのは冬木。
全力疾走で男達よりも早く七咲の傍に寄り、位置を示すように大きく手を振っていた。
モミジ、と名で呼ぶ声はとにかく必死だ]
七咲さん。
[男も箔源の後に続き七咲へと近付いて、軽く頬を叩いてみる。
反応はあるだろうか。
あったにせよ、到底動けそうには見えない]
箔源君、屋根のある場所を。
[探して欲しいと言う意味で言い、男は七咲に積もる雪を手の甲で払い、冬木の上着ごと七咲を抱えあげようとする*]
鞄?
[七咲の言葉に視線を落とすと、その胸に鞄が抱えられているのが見えた。
何が入っているのかまでは判じ得なかったが、大切そうに抱えていることから大事なものなのだろうと考える]
…だからと言って、こんなところで寝ていては。
[雪は強くなる一方。
焚き火の跡はあったが、管理する者が居なければ消え行くだけだ。
火はだいぶ小さくなっている]
三輪さん。
[手伝うと言って近付いて来た三輪だったが、触れられないことに気付いて応援すると言い始めた]
他の人も、どこか雪を凌げる場所は無かったか?
[誰かしら見つけていないかと、雪舞う何も無い空間を見詰めて男は問う*]
[離れている間のやり取りは当然の如く知る由もなく]
あっち側の通りに、屋根付きのバス停がありましたよ!
[見つけた場所の事を伝え、請われるままにそこへと案内する]
……一先ず、雪は凌げるけど。
[ベンチに寝かされた紅葉の様子に、これちょっと辛いよなあ、と思いながらため息をついた]
…………。
[空を見上げる。
雪は後から後から降ってくる。
自分だけなら、別に埋もれてもいい、なんて思ったりもしたけれど]
(……他のひとはなぁ……)
[やっぱりまずいと思うから]
(なんとか、出せれば、いいんだけど)
[そうは思っても、その方法が──多分、難しくないはずのそれが、わからない]
……行きたくない?
[道が分からないのであれば仕方が無いと思ったのだが、続き零れた三輪の言葉は別の理由があるよう。
だが、その言葉を零した三輪自身も驚いているようだった]
三輪さん。
[どこかへ向かおうとする三輪の背に声をかける]
忘れているなら、思い出して欲しい。
苦しいことなのかも知れない。
だが、それはきっと。
君のための一歩になる。
[人の心情を量ることは出来ない。
過去に何があったのかも知る由はない。
でも、それが『たからもの』へと繋がるものであるのなら、その人自身のために思い出して欲しいと思う。
三輪がどこへ行くのか気にはなったが、今は手が必要であろう七咲の傍に留まった]
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