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[それから暫くして、猫はウミの足元に姿を見せる。]
おうおうソラや、お前はどこに行ってたんだい?
随分と探したのに姿が見えなくて、
外に行っちまったと思っていたよ。
まあこうして皆も無事に見つかったことだしのぉ…。
あ、いや。
弁護士さんがおらなんだな。
[視線を廻らせる途中、ネギヤの傍には小さい女の子。
はて。あの子は一体誰だったか。**]
……あ、おこった顔だ。ネギちゃんいたずらすると、すぐその顔したもん。 したよーしてるよー だってないしょだったんだもん。 ……。 だって先生たちが言ってるの、きいちゃったんだもん。 うそ、つこうって。
[だんだん尻つぼみに、声は小さくなり。ネギヤの問いかけに、不満げに唇をとがらせて、そっぽうを向いた]
……だって、ヒナ、しんじゃったんだもん。
キクちゃんにおねがいしたの。しせつでるときにね、ネギちゃんにおわかれしたげてって。ヒナ、ネギちゃんにおわかれ言うじかん、なかったからおねがいねって。ちゃんとおわかれ、した?
[少女はネギヤを見上げて首を傾げる]
あ、だれかきた!
あああどうしよどうしよ!
[庭には続々と人が増えている。
少女は慌てて、無駄にくるくる回った**]
ボタンさん、もしかしてちょっと若くなってない?
[庭の木々や遊具の若々しさにつられて錯覚。
00分になりカチッと音がした壁時計は、なるほど時を告げない。
告げないどころか、針は逆向きに進み、そのスピードを増していく]
あなただぁれ?
[庭でくるくる回る少女に気づいて瞬いた。
壁時計の長針が一周した瞬間、響いたのは学校のチャイムのような*鐘の音*]
[『おこった顔』をしていたらしいネギヤは、こちらを振り向いたときにはいつものもちもちな笑顔を浮かべている。
くるくる回る少女に、それはそのまま向けられた]
なあ、ネギっち。この家と庭って……。
[柄にもなく浮かんだファンタジーな発想を、口にする]
その子に会うために、作ったのか。
[ネギヤは、首を縦にも横にも振らない。
けれど、あんこたっぷりの大福のように満ち足りた笑顔は、彼の望みが叶ったことを表しているように思えてならない]
場所を作っただけじゃ、だめで。
時計の針を逆に回すには……懐かしい思い出を持ってるみんなの力が、必要だった。
なんて、思ったりしたんだけどな。
[小さな少女の姿は、ネギヤの丸い体の陰にすっかり収まっている]
うん、ミステリーではなくファンタジーですね。
まったく、あなたという人は。
[ 満ち足りたネギヤの顔を見れば、巻き込まれたことに対しての怒りや不満は出てこなかったが……]
[ 小さな少女には、あの時庭園で出会った女の危険な香りはしなかった。
時とともに失われていくものを持ったままの小さな少女が、ネギヤの前にいる]
俺は……いっぱいあったよ、懐かしいもん。
久々に見られて、嬉しかったな。
[ネギヤの後ろからちょっこり顔を覗かせて、どこかきらきらした眼差しを向けてくる少女。
美人弁護士によく似た彼女に、目を細めて答えた]
ああ、そうだ、これ。
わざわざ買い直したのかよ。
[呪狼カードを、ネギヤに手渡した]
[よく手入れされた庭を歩く。
猫はもう振り返らずに、先へ先へと進んでいく]
……あれ、りく? どこ?
[ずっと追いかけていたはずなのに、見失ってしまった。
躑躅の陰など覗いてみるが、いない]
さて、懐かしいのは堪能したんだが……。
[ネギヤと少女を見比べて、少し考えて]
なあ、ヒナ嬢ちゃん。
せっかくだし、みんなでちょっと遊ぼうか。
[子供の頃のやんちゃな顔で、笑った**]
ネギちゃん、どうもありがとうね。
懐かしいもの、充分見せてもらったわ。
でもそろそろ帰らないとねぇ。
お人形はどこかしら?
[もぎゅもぎゅ口を動かすネギヤを見て]
まだ足りないの?じゃあみんなで遊ぼうか。
花いちもんめか、かごめかごめかどちらがいいかしら。
[懐かしい遊び唄を口ずさむ。*]
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