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[『じんろうさまのかみかくし』
この神社をモチーフに書かれた作品は、
最近出版されたもの。
それに何かを思う人は、居ただろうか。]
― からすが なく ころ>>26 ―
(おしろいのかおり が はしわたし)
(えはがきのおもい が みちしるべ)
…… しんぱい しないで
(ここと おうちが むすばって)
おうちに かえるよ ぼくも
(おや)
(ぼくも そんなふうに わらえたんだ)
(たのしかった って)
うん ぼくも たのしかった
とっても とっても たのしかった
(きみが ねがって くれなかったら)
また あそぼうね
いつでも いつまででも ね
(ぼくは こうして いることもなくて)
あ そうだ
(そうやって いつも めせんを あわせてくれる きみが いなかったら)
こんどは さ あれ しよう
(ぼくは ずっと ただの きもの)
(きみの おかげ)
しゃてき
どっちが さきに あのおかし あてられるか
さきに あてたほうが かち だよ !
(かんしゃ してる たくさん たくさん)
(―― “ありがとう”)
― からすが ないた あと ―
(ねえ ちゃんと わたした ?)
うんうん わたした わたした
(『ひきかえけん』)
ミナツちゃんの ぽけっとに いれといた !
(うらに おみせの なまえ かいた ?)
かいた かいた だいじょうぶ
きづく かなあ ?
(ふふ きづくと いいね ?)
はぁ? 神隠し? 何を言ってんだ?
この平成の世のデジタル世界に神隠しだなんて。
テレビももうすぐ地デジ化するってのにあほらしい。
[夏祭り会場。
打ち上げられる花火の音に、
ひとの歓声は一際大きくなった。]
幾らうちが田舎だからってなぁ。
今時流行らないだろう、怪談だなんて。
[カラコロと、下駄の音。
すぐ隣を歩いている筈の人の足音は、近く、遠く]
…神隠しと、座敷童のお話。
何だかとても、可愛らしくて…せつなくて。
ああ、先生、ご存じですか?
今年、古い盆踊りが復活するんですって。
かくれんぼ踊り…皆でお面をかぶって、この世の人も、あの世の人も…人ではない子たちも。みんな一緒に、楽しく遊ぶための踊りなんですって。
[手には、いつの間にか狼の面**]
――そう、流行らないですよ。
神さまの神隠しだなんて…
[そっと懐から取り出した、
白粉の匂いが漂う古ぼけた手紙を開いて]
いまのご時世には似合いませんよ、
そんな…五十年前の昔話なんて――
[男は、懐かしそうに目を細めて*微笑んだ*]
…うん、あたし、かみさまが居るのがわかってたから。
かみさまに呼ばれたと、そう思ってたの。
[拗ねた表情には、軽く小首をかしげつつ。
さらに促す声に、軽く目を瞑って、ゆっくり開く]
…ごめんね、ありがとう、ムカイ君。
うん。帰ろう。帰らないとね。
…って、手怪我してる!大丈夫?
帰ってその手、治療しないとね。あたしも、あまり上手じゃないけれど、包帯くらいは巻けるもん。
[そう言って、ゆっくりと歩き出した**]
― 現代 ―
[どこからともなく、下駄の音がする]
下駄の音かー。なんかお祭りっぽくていいね。
そういえばうちのばーちゃん、ずっと下駄を大事にしてたなあ。かみさまからのプレゼントだって。
どうやってかみさまから貰ったんだろ?
[ふと浮かんだ疑問を口にだして、祭りの中を歩いていく]
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