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[>>23 レンの姿も認めて、ふんわりと笑みだけで挨拶。
何時かの如くメニューを真剣に見て、]
……。ビール!
[色々と勢いに任せる]
[テンマの心づくしの手土産を、事務所の隅の古ぼけた冷蔵庫に入れながら]
こいつは、ここの先代の頃からの現役でねぇ。
この事務所の屋号の「萬屋」ってのも、先代から譲り受けたのさ。
時代劇の好きな御仁でねえ。
[ニヤリと笑う。]
[散々自由にしたあとではあるけれど、
邪魔しないように二人の顔を交互に見たりなどして]
……。
[大人しく話を聞いている]
あー……何回か、んな事があったからなあ。
昔、うちの近所にデカい空き家があってだな。ちょいちょいそこに探検しにいってたんだわ。
空き家のままのうちはまあよかったんだが、ある日借り手が決まって、職人さんやら引っ越し業者やらが出入りしだしてな。
そこへ学校帰りにいつものごとく忍び込んだら、たまたまいた大工に見付かってえらい剣幕で怒鳴られた。慌てて逃げ出して、うちに帰ったら、家主から苦情がきた後でな。
いやあ、あの時は参った。
恋の思い出は、
御髪(おぐし)を43cmほどいただいております。
[標準小売価格をつらりと述べて、顎に手を当て]
掬いはしても、救いはしないがよいのでしょう。
世界…ですか。
[言葉の規模が大きくなると
返答に困って、一旦黙った。]
― 探偵事務所 ―
昔の家電製品は、長くもつそうですね。
上司に言われて、わざわざ中古を
探す羽目になったことがありますよ。
[見遣る冷蔵庫は、無骨なつくりの其れ。
屋号の謂れは暫し記憶をつたなく手繰り寄せ――]
萬屋と言いますと…
ええと、『旗本退屈男』でしたっけ…?
[男の冗談に声だけで笑む気配]
義務になればきりがない、って意味。よ?
私の好きな人だけが笑ってれば、それで良いの。
[そんな話をしながら、椅子にかけたジャンパーを羽織り、帽子を手にとって]
入れてもらえた後にも、おふくろに、「あんたを盗っ人紛いに育てた覚えはないよ」って、大目玉食らったねえ。
さて、焼鳥屋探検の支度は出来ましたぜ。
[>>43手を伸ばして鬼のサングラスに指紋をつける]
そう。
あなた、まだ子供だったのね……。
[こく、と頷き。いつも以上に澄ました顔で]
良いわ。今日はお姉さんがおごってあげる。
空き家や廃屋は、
なぜか子供の浪漫ですね。
大工さんと親御さん、
二重に叱られてはかないませんが…
[いつしか寛いだ心地で話していた。
探偵の支度が整えば、そんな自覚もして]
…はい、
では繰り出すとしましょうか。
[三本めの煙草を、灰皿にそっと躙り消す。]
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