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親方… んにゃ 親父さんも。
川の水嵩よっか 嬢ちゃんをば 心配しぃちょっし な。
[不器用に伝え、自転車のペダルを踵でからりと空回り*させた*。]
化粧師 ンガムラは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
―裏山―
んぜー、んはー。
[苦しい息をつきながら、坂道を上る]
だいたい……姉ちゃんは、嫌なことがありゃぁ、お社で神様に八つ当たりするか、ぜはー、分校の校庭でヤケブランコ漕ぐか、じゃ。
はー、はー、はー。
ワシゃ、姉ちゃんほど、体力無いんじゃ。勘弁、してくれ。
[道沿いの樹に寄りかかって、しばし休憩]
先に、分校行ってみりゃ、良かったかのぅ。
……うぉ。降り出しおった。
[見上げた空は明るいのに、落ちてくる大粒の雨]
姉ちゃんは……お社か分校なら、雨宿りはできようが。
屋根のない所におるなら、厄介じゃのう。
[両手をメガホンの形で口に当て]
姉ちゃーん、どこにおるんじゃー。
イベントに来んと、限定の苺あんころ餅、買われんぞー。
ここで濡れておっても仕方ないのう。
お社、行くか。
[もう少し坂を上る。頂上へ続く道から分かれ、お社へ向かう枝道に入った]
この道、昼でも暗いのう。
お社に夜行ったらいかんっちゅうが、言われんでも来やせん。
[ぶるりと身を震わせると、大声で歌い出した]
あーあー♪抱き枕ー♪
いつも誰かの腕の中ー♪
だけどー♪抱き枕ー♪
いつも自由な夢の国ー♪
バック転でも♪バック転でも♪
できるーのーさー♪
……やたらに明るい歌でも歌わんと、やっとれん。
セイジの曲が役に立つのう。
[裏山の静まり返った場所。お社がある前に立ち、手を合わせていた。ちゃんと目をつぶっているが、普段と然程変わらずに]
ミス・トランクスの日に、雨が降りませんように。……痛っ。
[祈った後、...にしては珍しく眉を寄せた。こめかみを押さえ]
……? あれ?
今一瞬、すごく頭が痛かったんだけど……
[すぐにきょとんとしたところで、急に天気雨が降り出し]
あ。……祈った直後に雨だなんて、不吉だなあ。
[溜息を吐く。
覚えのある曲が微かに聞こえた気がして、辺りを見渡した]
お、誰かおる。ビンゴか?
[お社に近づくと、歌を止め、足を速めた]
なんじゃ、セイジか。
何しとるんじゃ、こんなところで。
や、それより姉ちゃん見んかったか?
[話しかけながら、大きくはないお社の屋根の下へ、身を縮めるようにして雨を避ける]
てるてるぼーず……っと。
[ぶんぶんと、振り回すのは右手のてるてる坊主。
傘はくる、くるりと回る]
しっかし、ギンちゃんのねーちゃん、どこに行ったんかなぁ。
……とりあえず、分校の方行ってみるかなー。
―裏山―
[車が通れる限界の地点で、荷台から野菜の入ったダンボールを担ぎ出して山を登り始めた。
途端に、雨]
前略お父様。
年に一度しか帰らない息子を叩き起こしてあなたが頼んだお使いは、雨に阻まれて失敗寸前です。
……誰の呪いだ、オラ。
[息も絶え絶え、インドア男子]
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