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残念ながら…。あなたが知っている"ナオ"はもう居ないわ。そう、この子がこの村に来てすぐに、わたしが奪い取っちゃったから。
でも――、ヨシアキくんを好きだった気持ちに偽りは無いの。これはホントよ?
[わたしは髪を梳く手を頬に滑らせて。自らの唇をそっと重ねた。初めて重ねた唇は冷たくて涙が出そうになった。
今更ながらに気付かされる。あぁ、わたしは本当に彼に心惹かれて居たんだと――]
[舞い散る桜が腕の中の鈴木の身体に降り積もっていく。桜の樹を見上げながら]
まだ、足りないのかい?
[つぶやくと、それに呼応するかのように強い風が髪を揺らす。桜の輝きが増したような気がした]
[一人彷徨う少女のたましいに接吻し、後悔に涙する少年にそっと触れ、どんどん意識は拡散していく。そして。
ひとつの、暗いたましいを発見する。
胸をよぎる恐ろしい記憶も今は遠い。哄笑するかのような、そのたましいは、けれど、どこか寂しくみえた]
どうしてここにいるの?
[彼が本当にたましいを喰らう方の存在であるのなら。どうして、同じ闇の中を彷徨っているのか。その暗い悲しいたましいに問いかけるけれども、既に自分の意識は形を成さず、世界の中に溶け込んでいった]
[さくら越しにフユキさんの声が聞こえた。]
「まだ、足りないのかい?」
うん、まだ…渇きは言えないの…。
さくらの渇きは癒えないの。
[わたしの声は彼に届くことはあるのだろうか?]
という訳で。成仏しました(?)。一番乗り。
明日の夜は、ほとんど来られぬし。
まぁ、今日が最後の夜の気もしますが。
全然推理とかは当たらなかったよ。
がっくりじゃ……。うぅーー。
『どうして――』
[微かに聞こえる声。
男は視線を漂わせ苦笑する]
どうして、俺がここにいることが不思議なんだ?
[そして、もっと遠くから聞こえる声に懐かしさを覚えて呟く]
いつになったら……。
穏やかな日々が訪れるのだろう。
*/
[救うとばかり思っていた、少年のたましいですら彼女は飽き足りない。
それどころか、渇きは益々増大しているように思えた]
君の名は、なんだった?
[今はただ、彼女の魂が安息の地へ辿り着くことを祈っている。
彼女がそれを望むのかは知らないが。
自嘲の笑みを浮かべ、少女を見守るしか出来なかった]
/*
[問いかけに答える声が、遠く聞こえてくる。けれども、既に意識は霧散していき。世界は自分の全てであり、自分は世界の一部になって。穏やかな気持ちで*まどろんでいる*]
[鈴木を抱えたまま、管理人室の扉を開けて中に入る]
……。
[感情が昂ったのだろうか、抱き合うナオとホズミの姿に無言で視線を送った後、少女の亡骸をそっと横たえる]
エビコが、宇宙のお母さんみたいな感じがする。
ほわわん。
周りへの絡み方いいよなぁ。
あ、そうだ。スグルが多忙だっただけのようで、安心した。
せめてエピで会えるといいんだが。
[こぼれた水は元には戻らない。動き出した運命は元には戻らない。
やさしい魂に触れられて、慰められはしたけれど。
好きになったナオが「人狼」と知っても、それも些細な事にしか思えずに。
身体さえあれば、わかっていても彼女を抱きしめたいと…
今はただ、涙を流しつつ*見つめているばかり*]
[抱きついてきたホズミさんをあやすようにぽんぽんと叩いていると、フユキさんがロッカさんを抱かかえてやってきた。]
あぁ、見つかっちゃったんだね。白い膚に赤い文字。綺麗でしょう?
[もう隠すのも面倒だと思い、わたしはフユキさんににっこり微笑んで。
耳許で囁くホズミさんの問い掛けには何て答えようと頭を悩ませる。]
ころして…ほしい?
[つぶやいた言葉。口許は果して醜く歪んでいただろうか?それとも――]
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