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そんなふうに口籠って、
物思いに耽ってらっしゃるところ――
[顔を上げながらの声は、どこか他愛無く]
昔の知り合いに似てるんですよね。
[信じられない、信じたくない、という風にか細い声でアンの名を呟いていたが、ピエトロとビセの死に、今起こっている事が冗談等ではない事を悟り]
……ジョークじゃない、ホントのこと……
どうして……?日本、平和な国の、はず……。
できること……
[あまりにも短い時間に多くの死を目撃したショックは拭えず。おぼつかない足取りではあるが、近くの鍵の開いている部屋からシーツを持ってきて、丁寧に、死者にかぶせて]
[わかる単語を、必死で聞き取って自分なりに現状を把握しようと心掛けながら、ダンケの傍を離れず歩いていく。]
お兄ちゃん……
プレーチェは、お兄ちゃんや、アンちゃんや、レンくんに、課題のレポートのこと聞こうと思ってた。今の課題難しい。どうしても困った時はおいしいカレーの作り方を書けばだいじょうぶって、アンちゃん、教えてくれた。プレーチェの家のカレーは教授は好きじゃなさそう。日本のカレー独特。学食カレーは素晴らしかった。プレーチェは日本のカレーの作り方知らない。アンちゃんに聞こうと思ってた。アンちゃんはたくさんの事を知っててお話もすごく面白い。お喋りいっぱいするはずだった、楽しみに……してた………のに……どう、して、ですか……?
ビセさんとピエトロさんも、どうして……。
[ダンケの袖をぎゅっと握って俯く]
―蔵―
[古い映画のように褪せた色が、そこにはあった。
小さな女の子が、蔵の中で戸を叩いている]
『お父さんお母さんごめんなさい。
ビセ、いい子になるから出してー』
[座り込んでそれを見つめるは享年十八歳の女]
呼んでも誰も来ないですよー。
ズイハラさんの指輪、パールの指輪?アクセサリー。
プレーチェ、アクセサリーいっぱい持ってきた。
新しく作られたのじゃなくて、昔からある、ほぞん、とか、じょうたい、とかが良いものだって。ママがくれた。今のお仕事の相手の人が貴金属の流通関係言ってた。それで手に入ったって。
お兄ちゃん。パパとママのお仕事は、とても良く進んでるです。パパもママもとっても元気。
プレーチェにいっぱい送ってくれた。ドレスも一緒。
最近だよ。
アクセサリーはしまっておくんじゃなくてつけるもの。でもプレーチェ大学忙しい、つける暇ない。
招待状が来たです。
みんな違うって昨日言ってたお手紙、プレーチェのはパーティの招待状。お土産に着飾るものほしいって。
アクセサリーは着飾るものだから、プレーチェは丁度いいと思ってママにもらったアクセサリーとドレス持ってきた。
大学も、トラブルないです。
みんな親切。喋る言葉がうまくできなくて時々通じなかったり、きちんと読めない字があったりする時は大変だけど、日本来てよかった思う。お兄ちゃんにも会えた。
嬉しいのでいっぱいだった……のに。
[ポケットに入れっぱなしにしていた差出人の書かれていない招待状を取り出す。それを持つ手に力が入るのは無意識か、やり場のない気持ちか]
大変な時に何もしないことはとてもとても良くないです、国のママがよく言うます。お兄ちゃんがいる、プレーチェ大丈夫……。プレーチェは、何ができますか?食べ物を調べるは、知識ないです。
[首を突っ込まないでほしいと言うポルテの言葉を気にしながらも、何かできないかと兄を見つめて訴えかける]
屋根裏、物置、布団部屋。
誰かが隠れていた痕跡はなかったね。
雨漏りを酷くしただけだったよ。
……埃で気持ち悪い。シャワー浴びて来る。
―回想・嵐の夜―
[ひとり、机に向かって何かを書いている]
「嵐が酷い。
こういうときは、決まって悪いことが起きる。
3年前の事件のときも、こんな夜だった。
もしかしたら、とは思うが
私は生きてここを出られないかもしれない。
もし、これを手にしている人間がいたら
おもちゃ会社を経営するピエトロという男を
洗い出すよう、伝えてほしい。
私がここで会った中で、一番黒に近い。」
[最後は所属しているらしい警察の名前と
その連絡先で締め、警察手帳に書きつけた紙を挟んだ]
おとり捜査って、犯人をおびき出すため
誰かが毒殺されやすいように罠を張るってことだよね。
手段として有効なら、考える余地はあるかな。
ね、お姉さんはどうして今の仕事についたの?
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