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[やがて理科室の前に到着して。ナオが準備室の扉に手を掛けるのを見ると、すぐに後から入れるようにと歩み寄っていき――]
!? ……
[瞬間、ナオを押し退けてセイジがその扉を開けた。そして、中へと入っていった。素早く、何処か不自然に。見えない何かに引きずり込まれるかのように]
セイジ!
何してん、いきなり……
[よろけ下がったナオを一瞥してから、扉に手を掛ける。そのまま開こうとした、が、鍵のかけられていない筈の扉は、しかし先の教室の窓のように、びくともせず。
ガチャガチャという空転する音ばかりが、あちら側から扉を開く音と共に響き]
[此方側からあちら側から、開こうとしようと叩こうとしようと、扉はびくともしない。ヨシアキが近付いてきたなら試みるのを譲ったが、彼がやっても――誰がやっても――結果は同じ事だっただろう]
っ……
おい、セイジ! セイジっ!
[聞こえてくる叫び声に、祈る思いで名を呼んで*]
[ナオを追って理科室にたどり着く。
理科準備室の扉を開けようとしたナオだが中に入ったのは割り込んだセイジだった]
・・・
[中から叫び声が聞こえる。中から扉を必死に開けようとしてるのが分かる。でも開かない、開かない]
また・・・なの・・・
[必死にセイジの名前を呼ぶマシロの後ろで、タカハルはそう呟いた]
ん…―――
わかった
[長いようで、短い口づけが終わった後
ドアを抑えるよう、頼まれたから
ドアに背を預けて、様子を見ていた]
言葉は契約、と言う事
教えた方が、いいのかな?
そうだな、ヒントくらい、あげよかな
ねぇ、仁
どんなヒントの出し方が、いいと思う?
どんなヒントの出し方か…
最期の最期に、俺がこいつに乗り移って話すこともできるが…
[それでは功を奏さないだろうという思いがあった]
んー…――――
私には、肉体がないしな
憑依するのも、良いけれど
それだと、この器がなぁ…―――
[色々、考えてはいるけれど]
血文字でも、かこうかしら
言葉は契約、願いは呪力
祈りは糧にして、恐怖は甘味
理を知らぬ者に、亡者の手を
こんなの、どうだろう?
[少し考えて、怖そうな文章を考えた]
[がちゃがちゃ、がちゃがちゃ
マシロから交代した、ドアを開く試み
だが、押しても引いてもドアは開かずに]
おい、セイジ…――――!
[叫ぶ声も、届くかどうかわからない
どんどん、どんどん
ドアを叩いてみるけれど、弾かれてしまう]
くそ…――――
[不意に片手が自らの意志と関係なく持ち上がる。
指先が切られるような感覚がしたが、それ以前に体中の激痛により、その痛みを認識することはなかった]
“言葉は契約、願いは呪力”
[...の指が勝手に床を這う]
[血に塗れた指は勝手に床を這い、
言葉を紡いでゆく]
“祈りは糧にして、恐怖は甘味”
“理を知らぬ者に、亡者の手を”
[すでに...の意識はほとんどなかった]
[次に扉を開けた者は、この言葉が...の血によって、
床に綴られているのを目の当たりにするだろう]
“ 言葉は契約、願いは呪力
祈りは糧にして、恐怖は甘味
理を知らぬ者に、亡者の手を ”
[この意味を理解する時、…何を思うのだろうか]
こいつを向こうに送ると同時に、
この扉は開かれる。
その時に…
血文字を確認させればいい。
[セイジを冷たく見据え、仁は言い放つ]
紅…
お前と出会えて…よかったぞ。
人としての…“幸せ”を垣間見れた。
[紅の方を見て]
ありがとう…な。
[すぐに目を逸らした]
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