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『ん〜……? ここどこぉ?』
[と、少女の声がした。
背後の布団がもぞもぞと動いて、その中から顔を出したのは]
アン、ちゃん……!?
[失踪時と変わらぬ見た目の女学生を見て、腰を抜かしかけた。*あばばばば*]
[ふと、射的屋の前で立ち止まる。
「今年も来たな小僧」と言われて、苦笑して頭を掻いた]
なんだろう、ここを通ると「やらないと」って気になっちゃうんですよね。
勝負してるっていうか、なんだろう。
[うまく言葉にできなくて、毎年同じような事を言っている気がするなと言い訳。
お代を払い、替わりにに受け取るおもちゃの銃とコルクの弾。
ねらいをつけるのはキャラメルの箱]
― 現代・救護テント下 ―
家に帰ればやれ嫁はまだか孫はまだかって、時代錯誤なこと言われ、外に出れば、病人もいないのにタダ働きかよ……!
みんな元気なのはいいことだけどなー。
[本部テントから、迎え火の匂いが届く。
机に置かれていた小説は、フユキの新刊。ぺらぺらとめくり苦笑した]
医者でユウキとかやめろよ、まったく。
― 40余年前 ―
若先生!
アンが見つかったって、本当!?
…あ…アン、本当に、アンだ。
良かった…心配、したん、だから。
今までどこに…ううん、違う。
───おかえり、アン。
やっとみんな、おうちに帰れるね。**
[暑い暑い夏の祭り。
カラコロと響くリズムは軽やかに、涼やかに]
踊りのこと、ご存じでしたか。
…やっぱり、先生は、お詳しいんですね。
[狼の面、戯れに作家の顔に重ね]
ふふ。
…みいつけた。
[また外して、にこりと笑う**]
─夏祭り会場─
ん…鼈甲飴、甘い。
次は、何しよう…かな。
射的に、風船釣り。
金魚すくいに、輪投げに…かくれんぼ。
─…かくれんぼ?
なんで、出てきたんだろ。
お祭りには、関係ない、のに。
…でも。
やってみたら…楽しい、かも。
[子どもがくれたわたあめ。
最後に残った割り箸をくわえてぶらぶら。
※危険です。テレビの前のお子様は真似をなさらないよう]
おにさんこちらー
[手に付いたポテトチップを叩くかのように、鈍く2回打ち鳴らす。
眠たげと言われる顔のまま辺りを見渡すと、面を被った老若男女が夜店の明かりに照らされてふわふわと]
[『還って』来ている人がいても、きっと誰も気づかない]
―現在 祭り会場―
たーのむよー ワカバ!
問題はあと、自由研究だけ!
そこがなんとかなれば!万事解決!
へるぷみー、
なんか半日で終わる研究おせーて!
[級友へ向かって手を合わせる、男子学生が一人]
ほら今ならもれなく、
「シンヤんちにおとまり勉強会に参加権」つき。
おまえも興味あるだろ、シンヤ?(あいつ女子人気高ぇんだよな)
それにあの古ーいうちの、趣?ってもんも味わえるぞ。
―現代―
[カロリーが無駄に高そうなかき氷を食べ終えると、
ソラを探していた様子の男性が現れる]
ごめん、用事あるからまたねー。
[そういって周囲の人々に挨拶を済ませ、やってきたのは公民館。
かくれんぼ踊りの前に行われる劇の打ち合わせがあったのだ]
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