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[周囲を見渡すと案外容易に相手を見つけられた。
高い背は便利だが、こういった時、相手から発見もされやすいのである意味諸刃だ。
扇子をしまい、丁寧に礼をする仕草は抱いていた彼への印象を崩すものではなく、]
俺は、グリタだ。
[こちらも姿勢を正した後、浅く頭を下げる。]
>>72
グリタさん、私の世界ではあまり耳にしないお名前です。
こういう挨拶も変ですが、よろしくお願いいたします。
ところで、
このいわゆる商業施設は、私のいた世界に非常に酷似しております。貴方はいかがですか?
ちなみに、この場所は、いわゆる、凶器と呼ばれるものが数多く揃えてあります。
ここに来た目的は、おそらく、貴方も私もそう、変わらないでしょう。
[丁寧に向こうも頭を下げていたので、言葉を多く語る。]
いまさら、そのルール自体に何か文句をつける気などはありませんが、お聞きしたい。
貴方のは自身の世界が好きですか?
勝ち残りたいですか?
[単刀直入にそこは聞いた。]
[自分には似つかわしくないきらびやかかな空間を歩く。
そこで世界一硬い物質と名高い宝石をあしらった
ペンダントが目に入って]
さすがに「このペンダントがなかったら即死だったぜ」
て、あるわけないよね。
ご都合主義すぎるよ。
[そこに入る一通のメール。
それはコハルがプレイしている携帯用ネットゲームから送られたものだった]
『milkさんからメッセージです。』
どこまで人をバカにしたら気が済むのかな……!
[親友を名乗ったメッセージに怒りが隠せない]
[ただ、そのメッセージの内容はとても有用なもので
それを見たコハルは急いで1階へ向かう]
『1階の日用品売り場でスタンガンが*手に入るよ*』
声が”見える”?
そうか、そんなシステムになっているのか。
俺は叶 吉明。…1stだ。
[囁くほどの声であっても、個人端末は持ち主を認識する。
声が見えるという相手に返すタイミングは、そう遅くない。
ゼンジと名乗られたなら名乗り返す。
習慣的に、それを躊躇うことはしない。]
[一通りマップは覚えた。
女物だと示されたほうへと足を向ける。
同じ階にいる人たちの服を見てから、売り場の服を物色した]
……どれがいいかな。
[しかし服をあわせるのは苦手だった。
あんまりもこもこしたのは動きにくいし。
さらりとしたカーディガンっぽいのでいいかと、灰色のそれをみる]
え、もってっていいの?
ありがと。
[傍に居た店員がどうぞ、と勧めるから、そのまま灰色のカーディガンに手を通す。
皮の胸当ての上からだからちょっと大きめサイズ。
指先がかろうじて出るのは不便だから袖をまくっておいた]
しかし喜べる気もしないな…。
[神の力を与えられるとはいえ、要は他から狙われるのだろう。
そうルールを解せば、ため息も落ちる。
”仲間”を簡単に喜べる気分にはなれなかった。
声の調子まで伝わるのかは知らないが。]
[どうしようか、なんて思ってる内に、目の前のエレベーターがチン、って音と一緒に開いた。]
あれっ。
[中に2番の子がいるのが見えたけど、彼女は戦える子みたいだし、いきなり襲いかかられたりしないかなぁ、なんて思ってる内に扉が閉まっちゃった。
ほっとしたような、残念なような。
多分、私には仲間が必要。出来れば、戦えるひと。
神になるのが1人以上、ってことは、多くても構わない、ってことだ。
それと、武器。私が得意なことに見合った武器。……出来れば、人を殺せたりするやつじゃなくて、逃げる時間が稼げるようなやつ。
迷った末に結局私は、2番が降りて行ったのと反対のエレベーターの、上矢印のボタンを押す。]
[それは、まだグリタと会う前だっただろう。]
カノウさんですね。
実は、私のこの、日記というんですか?
これに貴方の声が映ります。
そして、この日記はどうやら己を神と名乗っているようです。
神の日記。
ふと、思ったのですが、貴方のも左様で?
殺し合えって相手に、宜しくも変な話だが
[口髭を揺らし、く、と喉の奥で笑う。]
俺の世界じゃ、機械化が随分と進んでいてな。
店員が人なのは、どうも慣れないとこだ。
こういった場所もあるにはあるが
酷似かって言われると、そうでもない。
[それから、凶器、と口にするゼンジの顔を見、
それに対して自分の獲物の情報は伝えないまま]
…、
[真っ直ぐに突きを食らったような鋭い言葉。]
好きだよ。
くそ汚い世界だが、大事な事も沢山くれた。
大切な奴を、置いてきちまったんだ。
そいつの為にも、俺は 負ける気はないぜ。
[その時、再び右手首の端末が振動した。
ちらりと見遣った日記の告げる内容に目を見開く。]
”向こうから11thがやって来た”
[がさがさと鳴るビニール袋を手に、
視線を鋭くして辺りを見渡す。
見れば向こうからも、容易に姿は捉えられよう。
視界の端に、エレベーターが平和な客を乗せて動いていた。]
喜べないと。
ええ、なんとなくわかります。
この神の日記はどうやら、
ハズレくじかもしれませんね。
[声はどのようにカノウに伝わるのだろう。
いずれにしろ、それは単調に。]
ですが、
それもまた、なりゆき。
起きてしまったこと、振り返っても仕方ありません。
[勝負師の男は、そのとき、確かに笑んだけど、
きっと見えることはない。**]
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