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――いいわ。やりなさい。
既に一度傷を受けた身――
奴に報いを受けさせるためなら、汚れくらい。
[そうして、男の元へ歩を進め――]
[重ねられた冗談には、軽く息吐くように笑いを返す。]
同じカは分からない。
ダガ可能性は……それなりカナ。
……ダカラ、ネーさんに『依頼』しテモ良いカ?
もしもあいつらヲ見つけたナラ――
[バカンスに向かうと断られるか、食い扶持のためにと受けてくれるか。
指先に示す金額は、普通の一回より多く、先に彼女がこなした依頼より少ない程度。
異形である分、相手に手負いが見えた分、こちらも情報なりで協力する分を考えての値段のつもりだ。]
[身体中に擦り傷を作り、屋上庭園にたどり着いた。
とはいえ、庭園の体を保っていたか?]
んあ、鳥だ鳥だ。
[もう一人の人間には気付かず、鳥の方へゆっくりと歩き出す。手には、肉切り包丁。]
[依頼内容を聞けば一瞬眉を潜める。
それなりに腕が立つと自負しており、異形殺しも
数回経験してある。
だからこそ、彼等のタチの悪さも把握済みだ]
[とはいえ、提示された額はウルスラ程ではないにしろ
異形を相手にするには妥当、いやそれ以上の額。
気ままな旅の計画を立ててはいたが、
先の報酬と合わせれば旅どころかこの腐った街を
抜け出して暮らしていける程度にはなる]
[そして、幾許かの時が流れた頃。
ベルンハードが姿を見せたとき、
撓み軋んでいた床は庭園ごと割れ
煉瓦造りの上階層は半ば崩落を始めていた――――]
…標的は、豚と食人鬼の二匹カ?
アイツらについて知てること…
弱点、能力、姿形…何でもいいから教えるとイイヨ。
異形一匹ならその金額でOKネ。
二匹ともなら…足りないヨ。
[そう続けて、親指を立てる。
先の報酬には及ばないものの、更に額を吊上げようと]
[その足音が聞こえた時、既に翼は力を取り戻していたか]
――来たわね、化け物。
[その声に揶揄いの響きは無く、調子は低く昏い。
半目の視線が鋭く少年を見据え]
あんたの相手してやる暇はないんだけど――。
[包丁を持つ側の腕を狙い、弓を引く。
そうしている内、足場は崩落を始めた。
この程度の脆い煉瓦なら、容易く砕き穴穿つ程度の威力はある]
んあ、なにこれ。
[脆弱なレンガ床に、大きな亀裂が走り、いまにも床が崩落しそうだ。]
ちくしょう、鳥、お前の血を羽根を肉を食わせろ。甘いという感覚を味わせろ!
[包丁を持った腕めがけて飛んできた矢を、横に転がり何とかかわす。矢は地面に突き刺さる。]
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