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[何かが風を切る音と、男の悲鳴。
先ほどの叫び声よりは近く、そしてはっきりとしている。
自然、興味はそちらへと向いた。
ゆったりとした足取りで、翼人の女と腕をなくした男の前に現れ]
……。
神罰の代行者、とでも言ったところか。
おい、こいつは何の罪を犯したのだね?
[男を助けるでもなく、皮肉げに声をかけた]
『檻』……
[地面に置いた右手を、
砂を握るようにゆるく握り締める。
自分に軽業師の影が落ちているのを感じる。
クレオソートの臭いが濃くなる。]
/*
弓矢で人の腕を吹っ飛ばす、というと
もののけ姫のアシタカさん?を思い出すのです。
あれはびっくりした 懐かしくてときめく!
そしてマティさんとの絡みが即興過ぎてどうしよう
我ながらいちいち無茶振りですすみません
[聞き慣れた声を耳にすれば、歩みを止める。
この稼業は情報が命であり、
カウコからも数度か情報を買ったものだ。]
イイ仕事入たからネ。
報酬に向けて、頑張るマスデスヨ。
…それはそうと、公の場で殺し屋言う、良くないネ。
[口元に指を伸ばして、彼を注意した]
そういえば、一件知りたいことあるヨ。
ドロテアという娘のこと、何でもイイから知てるカ?
[ぶっきら棒に尋ねる。
私怨とはいえ、たかが小娘独りに大枚を叩く
ウルスラへの警戒は、未だ解けずにいた。
何かネタがあるなら、事前に掴んでおければと]
僕、知らないって言ったのに…。
おじさん、悪い人。
[サバイバルナイフをこちらに向けられ…]
僕、お腹空いてないけど、おじさん悪い人なら殺してもいいよね。
[そう呟き、普段の虚ろな声とは違う咆哮をあげると、身体がミシミシという音とともに変化する。
手が伸び、胸筋が発達し、顔が変化する。口は裂け牙が覗き、目は赤く、体毛がなくなった代わりに皮膚が黒ずんでいる。]
死ねよ、人殺し!
[1mはゆうに超えるだろう右腕を尻餅ついたまま、男に振りかざす。]
[犬歯の白さが幻視出来るようだった。
弾力のない肌にえがかれる「名前」
文字が綴られる度に、気付かぬ程微かに頭部が揺れる。]
レ……、レーメ、フ、ト。
[軽業師の耳元に囁き返すように、音が漏れ出る。]
[万が一にも返り血の届かぬ距離まで離れると、即死はせずとも出血で長くはない男を眺め]
ざーんねん。
天使様は下卑た野郎に救いの手など差し伸べないのでした。
あ、でも、こんな所で生きなくて良くなったんだしある意味救われたかな?
[キャハハと笑う声を聞く意識は、男にまだあっただろうか。
と、そこにゆっくり近づく足音>>134があり、死に掛けの男はそのままに振り向いた]
神罰ぅ? あたしらって神様の代理なのぉ?
[大袈裟に語尾を上げ、口を横に広げて歯を見せ嗤う]
こいつはねぇ……汚いから。
汚い手で触られそうになったら、その手を払うのは当然でしょ?
触りたくもないから撃ったけど。
天使といえば神の遣いだ。少なくとも私はそう習った。
……君は天使ではないのか?翼人ではあるようだが。
[嗤う娘に、小さく眉を潜めつつも淡々と返した]
確かに汚いな。淑女に触れるならば、もう少し身なりを考えるべきだった。
だが、君も物好きだな?翼があるのに、わざわざこんな地上に降りてくる意味があるのか?
今の地上は汚いぞ。こんな身なりの男ばかりがうろついている。
[懐から一丁の拳銃を取り出し、男に銃口を向ける。
感慨もなく、彼の頭に向かって引き金を引いた。高い銃声。
男が避けられたかどうかまでは、気にしていない]
――ゴミ溜めと相違あるまいよ。ここは。
[その後を追うように黒い腕が唸る。
異形の腕が叩きつけられた衝撃で、残っていた床材が粉砕されて舞い上がる。
遅れて。轟音と衝撃に建物全体がびりびりと震える。]
[男はいつ確保したものか、左腕に酒瓶を抱え]
[今、これ以上の武器を携行して居ない事を思い出す。]
ち。
[腕だけは低くナイフを構えたまま]
復讐などというものは君には分からないのだろう。
―砂塵の街―
…ああ、
[喩えた『檻』にか呼ばれた名にか、
旧友の頬へ触れたままに浅く応える。
彼へ俯く軽業師は、
尖らせた舌先を僅か覗かせて…どろり。
黒く灼けた、コールタールのひと雫を
マティウスの頬へ向けて垂らす―――*]
[>>136情報屋として殆ど機能して見せてはいないものの、極稀にこちらを頼る人間がいる。
幾つかの取り引きをした事のある変人の一人に、僅かに肩を竦めた。]
ソりゃ、失礼。
まア、こんなゴミ溜めノ中じゃ、気にしてモ変わりゃネェと思うガ。
ドロテア……ドロテア、ね。
どっかデ聞いた名ダナ――
[似て非なる言葉の訛りで、記憶を探り、到る答えに一つ瞬いた。]
ああ、思い出した。
話題の『イケニエ』ダロウ?確か――…
[この街のどこでだったか、神にか何にか、捧ぐ供物になろうとする人間がいること、それはそれなりには有名な話。
知りうる限りの知識を口に、けれど胸糞悪い話のため、話は早く切りたいと、情報料など請求することなくひらりと手を振り。]
俺はンなモンに縋るような弱い人間にゃ興味ねェガ……そいつがバカンスの種カイ?
殺スなんてタダの手間ダト思うゼ?
[おじさんが間合いを広げて、剣の構えを緩めた。
戦意は消えたかな?この格好はお腹が空くから、あまり好きじゃない。床を壊した腕を胸元に置き、いつもの身体に戻す。]
復讐…、にいさまを誰かが殺したら、そういう気持ちになるかも。
でも、僕はおじさんの大事な人を殺していない、と思うよ。
だって、その人のそばには、きっとおじさんもいたと思うしね。大事な人を一人にしたりしないよね。
[ゆっくり立ち上がって、外套についた埃を手で払い落とす。]
残念ながら神とやらに会ったことはないわね。
ま、地上人からすれば同じじゃない?
神の遣いだろうと決して手の届かぬ場所の住人だろうと。
[淡々と答える男に目を細め]
物好き――ね。ま、好きで降りてる訳じゃないけど。
[銃声に、微かに弓を握る左手を緊張させつつ、溜息混じりに答える]
ゴミ溜めもたまには掃除しなくちゃ、どんどんゴミが溜まる一方でしょ?
嫌々ながらでも手を突っ込まないと。
[たった今片付けたゴミは、既にただの物体と化している。
血肉は貴重な資源となるかもしれないが、廃棄物の処理など知ったことではない]
いいや、彼女は一人だったんだよ。
だから私は下手人の顔も知らない。
[刃は向けたまま、睥睨するように細めた目で]
ここで君を私が殺したら、君の兄は怒るだろうか。
ゴミ掃除か。
なるほど、崇高な使命だな。
こうなってしまった以上、神の手でも借りなければ、地上は片付くまい……。
[娘が持つ弓に視線を向けながら、銃口に軽く一息を吹きかけた。
胸元のホルダーに戻して]
だが。
娘さん一人には、少々荷が重い仕事ではないかね?
[軽く揶揄する風]
レディに物騒な肩書言う、良くないヨ?
せめて賞金稼ぎと言て欲しいネ。
[女が気にするのはあくまで其処。
彼女が殺しを稼業にしていることは、
隠すまでもなく吐き溜めの街では知られている]
ん、情報ありがとネ。
信仰心の犠牲になた可哀想な娘ネ。
[礼は言うものの、掴みたい情報は他にある]
ドロテア、誰かが守てるとか、ないカ?
宗教団体、家族、その他……
何でも、何か情報あるなら買うヨ?
[ドロテアを殺しにいくとでも言いたげな程に
彼女に関する情報を求めた。
懸念材料を無くすため。不要な警戒を解くため。
不安感が消えねば、仕事に集中できない]
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