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「代償って…まさか、あなたはっ…」
[先程目を奪われた本の内容を、ナオは思い出す。風の声が聞こえると、村人の身体が切り刻まれる。それはいつしか獣の名前として人々に言い伝えられたという。
その名は――]
「じん…ろう?」
ふふっ、ご名答。そうよ。私は人狼。人の恐怖を好み喰らう者。そしてあなたに宿りしものよ?あははっ!
あなたも不運よねぇ?学校のレポートなのか知らないけど、こんな場所を選んだ為に――あははっ!
[頭に響く高笑い。ナオは泣きそうになりながら俯く。]
『そうね、知ってるはずよ』
[少しずつ思い出していくのは、昔、大昔、この星のどこかであったこと]
[男は瞳を伏せて、細い息を吐き出した。
爆ぜるような音が、繰り返し頭の中で響く]
「わたしは…あなたの命に従わなきゃいけないの?」
[縋るように自身に問い掛けた言葉は、あっさりと一蹴される。自身の呪われた身体に、ナオは唇を噛んだ。]
あぁ、そうそう。間違っても自殺とかしようって考えるんじゃないよ?人狼ってのはわたし一人だけじゃないんだから。あんたが死んでも他の奴が狩をする。だからあんたが死んでも解決にはならない。ククッ…
[ナオの思考を見透かしたように、内なる声は指摘する。どうする事もできない自分に歯痒さを感じながら。]
薬屋さんは、薬を持っています。
[だから大丈夫、と言わん様子]
人攫い……。
[もはや“ドアのようなもの”になってしまった扉を見つめる。
――次いで、天井を見つめた]
いってらっしゃい。
気をつけて。
[やはりこの国の人はチャレンジャーなのだ、と男は思った]
さぁて、あんたとお喋りするのはこれでお終い。
今からあんたの身体は私が乗っ取らせてもらうよ?アハハハハっ!
あんたの意識を残しておいて、折角の獲物を取り逃がしたくはないからね?ふふふっ…
[囁かれる声に、ナオは必死で抵抗するも霞む意識に成す術はなく。ただ最後に呟いたのはもう一人の仲間を問う言葉。]
知ってどうするのか解らないけど、でも答えてあげる。
もう一人の仲間はね、今、あなたの目の前に…
[そう言って近くに居たヌイの姿を指差す。]
いる人よ?
[果してナオの目にその姿は*見えただろうか?*]
Are You a Werewolf?
[独りごち、お茶の残りをすする。
ポケットから小さな何かを取り出した。
サイコロほどの大きさの透明なそれは、よく見れば中に細工が施されている]
明かりが....やっとたどり着いたのね....
[管理棟に入ろうとするが鍵がかかっている。ドンドンと扉を叩き]
ホズミです!あけてください!
どうしたものでしょう。
[軽い荷物は持っていたが、それでも借家にはいくらかの持参品が残っている]
お風呂ですか。空いていると思います。
風邪に気をつけて下さい。
借ります。
[入口にあったレインコートを羽織り、囲炉裏の向こうの窓に向かう。
開いて乗り越えようとした所で、ホズミの声が聞こえて]
混浴。話に聞いたことがある文化です。
話していた人は、とても楽しそうでした。
でも私はこれから大自然と闘ってきます。またの機会に。
[スチャッと手を掲げ、窓から飛び立った]
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