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朝・314号室
うわあ……!
[朝。何気なくカーテンを開けて、千夏乃は感嘆の溜息をついた。
青空に架かる、連続的なスペクトルのアーチ。その外側には、うっすらと二つ目の虹が見える。]
よかった、晴れた。
[せっかく、家族に会える日なのだ。曇り空じゃ、つまらない。]
『虹が出たなら きみの家まで
なないろのままで 届けよう』
[両親の好きな昔の歌を口ずさみながら、身支度を始める。
とはいえ、長い髪をきれいに編み直すくらいのものではあるが。]
……?
[ふと聞こえたノックの音と声に、扉の方に顔を向けた]
どうぞ。
[そして室内へ誘う言葉をかけた。扉が開き、少女が姿を見せたなら、男は瞬いた。無論、その顔の動きは相手には見えないのだったが。
奈緒というその少女と、男は以前話した事があった。いつだったか、退院したと話に聞いていたが]
今日は。
[ともあれ、そう挨拶し]
正午:売店
[回診後、幾つかの書類作成を終えて昼食時間を迎えた。
見上げた窓の向こうには、虹上がりの青い空が拡がっている。
まさに「空の綺麗な日」だった。
休憩時間をどうしようか、悩んだ挙句売店へサンドイッチを買いに出る事にした。どうも重いものを胃が、受け付けてくれない状況だった。]
―――…、……?
[人影の見当たらぬ辺りから、声が聞こえる。
聞き覚えのあったその声の主は、入院患者のひとりのものだった。]
田中さん、……何を買うんですか?
[ひょい、と棚の横から顔を覗かせ、彼女の視線に合わせるように腰を落として]
こんにちは…
[常ならず、小さな声で挨拶を返し一歩中に入れば、開いた扉から手を離す。ぺたん、とまぬけな音を立てて自動で閉まった]
あの
[顔をあげ、部屋を見渡す。少女の着たパジャマよりずっと暗い、けれど緑のカーテンに、自身の個室にかかった薄緑のそれを思い出し、少し勇気付けられる]
どうしようかな、って思って
ふと顔が浮かんだから
[要領を得ない言葉を洩らしつつ、ポケットからハンカチ包みを取りだす。掌の上でひろげれば、それは腕時計の残骸で、カーテンが開いたままならば、陽光を反射し、柏木の顔を照らすだろうか]
[何かしら困った風の奈緒の様子に、どうかしたのかと訊ねようとした、が、それよりも彼女がそれを取り出す方が早かった。
それに反射した日光が、男の顔を照らす。男を見据えていたのなら、サングラスの下、切れ長な目が一瞬だけ窺えたかもしれない。
男はすぐに帽子の鍔をより深く下げ]
……
時計?
壊れたのかい。……
[改めてそれを、壊れた腕時計を見やった。ベッドの縁に腰掛けたまま、掌を伸ばし]
あら、ま。
結城先生。
[商品棚からふと現れた陰に黒目がちな目を向けた。笑み皺が深くなる。]
ンふふ、それを今考えてたとこなんですよう。
緑茶に合うもの探してたら、チョコレイトをね、
推されてちまって。
先生もォ、お買い物ですかい。
[腕に抱えた人形を揺すりあげ、相手の視界に入るよう胸に抱え直す。老婆の眼は、それから、相手の持ち物を探るように動き]
[手先の器用そうな、大人の…男の人。
結城に見せるのは何故か憚られた。命ないものを"なおす"ことまで、彼に頼んでいいものか、と。だから今少女は此処で、表情を読み取ろうと柏木の顔をじ、と見ていた]
はい、落ちてたんです
落とした、のかな
[一瞬、瞳が見えたような気がした。
よく見ようと、そして伸ばされた手に誘われるように、時計を持ったまま、少女のものではないと推測できるような言葉を零し――実際、近くで見ればそれが少女の細い手首に似合わないとはすぐに知れようが――二歩三歩と柏木に近づいて]
"なおす"こと、できますか?
[落ちていた、と語る少女。その口振りから、時計が彼女自身の物ではないらしい事が知れた。ならば誰の物なのか、それを確認する事はなく]
……そうだね、……
[近付いてきた奈緒に、その手に持たれた時計を眺め]
完全には、無理だけど。
そこそこに、くらいなら。
[そうぽつりと返事をした。自信がある、という程の術は持たないが、この手の物を弄った事は何度かあった]
じゃあ…
[ハンカチごと渡そうと、さらに手を差し出した。左腕から伸びた点滴の管が引っ張られて音を立てる]
これ、このままでも綺麗だけど
……痛そうで
見て、られないんです
[患者として病院にいる者は、皆何処か壊れている。人間には完全な形などないだろうが、時計にはそれがあるのだから、元に戻したかった。戻って――欲しかった]
痛そう。
そうだね。痛いのかもしれない。
痛いのかな。……そうかもしれない。
[呟くように言いつつ、更に手を伸ばす。ハンカチごと腕時計を差し出されれば、す、とそれを受け取り]
……じゃあ。
そうだな、……
また、夕方にでも。来てくれたら。
いや。明日でも、いいけれどね。
ちゃんと、置いておくから。
[考える気配を挟みつつ、そう続けた]
痛い、のは私なんですけどね
……誰かにとってはただのゴミなんでしょうけど
[そうかもしれない。違うかもしれない。全部、想像――否、妄想でしかない]
はい、お願いします
検査が早く終わったら、また夕方にでも
[時計を渡し、手を戻す。手持ち無沙汰に腹の前で組み、再び部屋を見渡し、その中の一枚に目を留めた。少し、首を傾げ]
虹………見ました?
誰かは。
気にしているんじゃないかな。
[誰か、とは、落とした人物を指して。
受け取った時計を改めて見る。問いかけられれば、顔を上げて其方に向け]
いや。見ていないよ。
出た、と。
話には、聞いたけど…… 見ては、いない。
[窓の外の青を一瞥しつつ、首を振り]
[長年の苦労を感じる田中の目皺、可愛らしい微笑みだった。思わず此方も目許が緩み]
チョコレート、ですか。
随分ハイカラなものがお好きなんですね。
……ああ、お孫さんとか?
[ひょい、と目前に持ち上げられた人形を見つめ、ぱちくりと瞳を瞬かせた。まさかこの人形に推された、という……、否、と思案しつつ、問いを受けて我に戻り]
はい、僕はお昼に――…、……これでも食べようかな、と思いまして。
[立ち上がり、ハムサンドの袋を摘んで見せた]
――回想――
[お風呂が溢れる、という言い回しに顔を綻ばせさせながら]
ああ、溢れるね。
そうか…お風呂って言う考え方はなかったなぁ。
じゃあ…温泉形式にしてみたら?
ほら…排水口があったりしたら、とか考えて見るとこれはこれで面白いんじゃないかな。
――回想――
他だと推理系はパズルみたいで面白いよね。
A,B,C,D,Eの5人が競走をして、1位から5位までが決まった。
その順位を聞いたところ、次のように答えた。
A「私は5位でDは2位だ。」
B「私は3位でCは2位だ。」
C「私は2位でAは4位だ。」
D「私は2位でBは1位だ。」
E「私は5位でCは4位です。」
ところが、5人の答えは、すべて半分本当で、半分が嘘であることが分かりました。
さて、本当の順位を求めて下さい。
こんな感じのとか、
下の文の□の中にあてはまる数を入れてください。
「この文の中には、1が、□個、2が、□個、3が、□個、4が□個、5が、□個、6が、□個、7が、□個、8が□個、9が、□個ある。」
私も見てないんです
……見たこと、ないかもしれない
[同じく窓の外を見やり、右手で目元を擦った]
……すいません、じゃなくて。えと
よろしくお願いします
[右手は握りしめられ、点滴装置を左手で持ったまま、小さく頭を下げた]
じゃあ…また
[顔をあげ僅かに微笑むと、部屋を辞そうと背を向けた]
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