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[カッ、カッ、カッ、男が一人、閉館時間をとうに過ぎた美術館の廊下に硬質な靴音を響かせて歩いている。
時折、人だかりとすれ違うかのように体を傾がせ、分け入るような動作をするが視線は真っ直ぐ前に据えられたまま動かない。
突き当たりのホールに入ると、歩調を緩めることなく真っ直ぐにホールの中央に向かった。ホール中央に置かれた天使の彫像の前にたどり着くと、目を細めてその顔を見上げ、ゆっくりと右手を伸ばした]
………っ。
[手が彫像の腰の辺りに触れるその直前、男は弾かれたように差し伸べた手を引き戻すと眉を顰めて辺りに視線を廻らせ、元来た暗がりに*歩き去った*]
[もぞり]
[彫像が並ぶスペースで小さな影が動く]
[ある彫像の後ろから、ひょっこりと顔を覗かせた]
………。
[きょとり]
[辺りを見回す]
[周囲にはいくつもの彫像]
[暗闇で見るそれは必要以上に影を湛えていて]
…………。
[たたっ]
[怖くなってそこから駆け出した]
[絵画の中に描かれているのは、黒衣をまとった三人の少女。
一人はあかりの灯る蝋燭を持ち、一人は真新しい箒を、そして一人は古ぼけた箒を手にしている。
彼女たちの表情は一様に暗い。]
[たたたっ]
[彫像の合間を駆け抜けて]
[隣のブースへと逃げ込んだ]
……。
[きょとり]
[見回すとそこは絵画のブース]
[沢山飾られている絵画を]
[一つ一つ確認するように覗き込む]
………。
[ぴたり]
[とある絵画の前]
[足を止めて食い入るように見つめる]
[自分と同じ青い髪をした少女]
[自分と同じ服装をした少女]
[鏡を見るかのようにじっと*見つめた*]
あれ・・・・・・え!?え!?
[起き上がると辺りは真っ暗だった。
周りを見渡そうと振り向くと、白い顔が至近距離にあってびくりと肩を震わせる]
あ、そうか。そうだここは・・・・・・中庭だ。美術館の。
[いつの間にか、彫像に凭れるようにして眠っていた。
彫像の女性はそんなメイを受け止めるように、包むように、ゆったりとしたローブを広げている。
照らす明かりが月明かりのみでも、その表情は慈愛に満ちているように見えた。]
な、なんで眠っちゃったんだろ・・・・・・警備員さんは気付かなかったのかな。やっばー・・・・・・。
[隠れていた場所から出てくると、辺りをキョロキョロと見回し何もいないことを確認した]
うわぁ。ひろーーーい。
[自分の声が予想以上に響いてくることに驚きあわてて口を手で押さえた]
美術館は静かにしなくちゃね。
[次の展示スペースに入ると、何かを見つけ走り出した。中央あたりまで来ると、嬉しそうに笑って]
ミイラみーーーっけ。
[視線を左右にめぐらせ、何かを探している。その内、展示品にまぎれている白いふわふわの物体を見つけ、手を伸ばしてみるが柵に邪魔されて届かない]
くぅ。もうちょとなのにー。
[ふくれっつらをしていたが、また何かを見つけ楽しそうに次の部屋へと*走って行った*]
で、出口どこだろう。広いよー。ここ。
と、とりあえずあっちいってみよ。
え!?
[ふと、目の前の彫像が動いた気がして、*立ちすくんだ*]
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