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そうだよ、それに俺達のなかに人狼がいるって決まったわけでもないだろう。
[ペッカ>>24に追従するように頷きながら訴え。]
それに人狼はもう逃げたかもしれないじゃないか。
間違った人を殺してしまったら、どうするんだよ。
[ラウリへと言葉を向けるペッカの姿を横目に、町の人たちに訴えてみる。
けれど、ドロテアの復讐を求める人たちには届かず、いらいらと髪をかきむしる羽目になるだけだった。]
例えあたしが人狼だとして、ドリーを襲うわけないじゃないですか!
[ドロテアの父親が怯んだ隙に、腕を払って駆け出した。
雑踏の中、見慣れた背中にぶつかるように走り寄って、名を呼んだ。]
ペッカ……
ねぇ、どういうこと?
……僕には理由がありません。僕は旅人なんだ、ここで誰かを襲う理由はないし、彼女にだって恨みはない。
僕が犯人なら、死体を隠して時間を稼いでその間に村を出ればいいだけの話です。
[非力な少年は考える。いきり立った村衆を前に、感情的になるのは得策ではないと。『愛想』はいまこそ使うべきなのだと。
だが、水夫にけんか腰に話しかけられれば、メッキはすぐに剥がれた。]
理由があるのは村の人でしょうねぇ。殺してしまえば逃げ場がない。
僕がいる今のうちに事件を起こして、僕に罪を着せたかったんじゃないですか?
『間違った人を殺してしまったら』――
ドロテアの親父さんは、それでもいいだろうよ。
[訴えが聞き入れられず苛立つベルンハードへと、
ペッカも焦燥を滲ませながら低い声を添える。
犯人を引き渡せと言われ戸惑うウルスラへは、
苦りきった面持ちを向け]
ウルスラ姐、取り合えずわかったとでも
言っとかねえとやばいんじゃねえか…コレ。
おっさんたちまで見境なくしてやがらァ。
…わかンね。
けど、やべェし。
[背に飛びついてきた相手がアイノと知ると、
ペッカは眉根を寄せて片腕を其方へと回す。
剣呑さを高める村衆の視線からアイノを隠す態]
ちっとは、聞いたろ。
ドロテアの仇を討ちこそすれ、
喰い殺した犯人にされるなんざァ、真っ平だ。
[はぁ、と僅かに吐息をこぼす。]
いったい、どうしろってんだよ……
[アイノがやってきたのを見る。
ペッカやウルスラ、ラウリへと視線を移して、もういちどため息をついた。]
俺らの中に犯人が居なかったら住人全員殺していく羽目になるぞ。
それでも――
[『やる』とドロテアの父親の声が重なれば顔を蹙めた。]
返して。
あなたに出来ないなら、師匠でもなんでも呼んで、ドリーを生き返らせて。
[声を荒げることもなく、淡々と、ラウリへ向ける言葉を紡いだ。]
へーえ、いの一番に罪を着せられかねねェ
立場っつーのはわかってるみてェじゃねーか。
[ラウリの饒舌さにさも感心するといった調子で、
ペッカは太い指でラウリの額を押遣る仕草をする。]
いきなり弁解から入るところが凝ってらァ。
[取成す語調のウルスラの顔を立ててか、
ペッカはラウリをそれ以上挑発するのはよした。
――そして、>>32背へつくアイノが
呼気と共に腕へ籠らせる呟きを感じ、]
…、お前ェ。
[問う間も挟まずに、否定するアイノの言に
ペッカの元から腫れぼったい瞼がひとつ瞬いた。]
……人を生き返らせることなんてできたら、それは手品じゃなくて魔法ですよ。
[水夫のように敵意をぶつけてくるならともかく、少女の言葉は予想外だった。]
僕にはできませんし、師匠にも無理です。それに……
[一度言葉を切った。]
奪ってないものを、返せと言われるのは心外です。
[彼女からよくわからない圧力を感じたから、丁寧に言葉を紡いだ。]
くそう。
結局誰かを生贄に差し出せってことだろ。
それで他の誰かが襲われてたりしたら、また別の奴ってことだろ。
[おわりが見えない凶行じゃないか、とはき捨てる。
ペッカとアイノ、ラウリのやり取りも聞いてはいるけれど、そちらに反応できるだけの余裕もなく。
ただ――そう、ただ純粋に、町の人じゃないと言う理由だけでラウリはすでに不利だとは、思ってはいたのだった。]
死んだ婆様は、あたしとドリーが、森の奥の小さな家に行ったときに、教えてくれました。
この辺りには昔、人狼というバケモノがいたんだ。
人の姿に化けているから、すぐにはわからない。
どうやって見分ければいいのか、おまえたちにだけ教えてあげるよ。
[そこまで言うと、あとには鼻をすする音。]
…。
[水夫のペッカは、自らの喉元をがりがりと掻く。]
この中に、犯人が――
ビー、あながち的外れでも無ェかもしンねえ。
[やや思い詰めた様子で、ベルンハードへ言うと
――腰の後ろへ片手をやってごそりと探りだす。]
何なら、俺がちっと視てやっても いいし。
[水夫が取り出したのは、古い――旧い、望遠鏡。]
[水夫は...を疑っている。帽子の女性も「やる気」だ。他の二人はわからないけれど、顔なじみを突き出すよりは、旅人のほうがずっとやりやすいだろう。]
っ! だから、僕には理由がない! なんでわざわざ逃げ場のない村を選んで殺さなきゃならないんだ!!
[圧倒的に不利な状況に思わず声を荒げたとき、少女のすすり泣きとかすれた声を聞いた。]
え……?
[ペッカが取り出した古ぼけた望遠鏡を目で追う。]
……そういうのは、ドリーと同じになっちゃう。
[手を伸べて、望遠鏡に触れようとした。]
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