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匂いに誘われてアンちゃん来ないかな。
アンちゃーん、カキ氷だよー。
[と言いながら既に皿の中にはほとんど氷片はなくなっている。
仕事に向かおうとするセイジには]
行ってらっしゃい。
先生方にどうぞよろしく。
[自然に足は森の方へ向かっていた。こどもたちに教える地蔵のさらに先、一層植物が生い茂り昼間でも暗闇のようなそこに実はもう一つ地蔵がある。その先は許されたものしか行くことはできない]
……ばーちゃん…。
[歩く足取りは重い。本気で走り回れば半日で一人の行方を調べることなどできるほどの小さな村である]
動物じゃないんですから。
[アンを呼ぶホズミを呆れた視線で見詰める]
はい。行ってきます。
[空になった器を片付けると、一旦自宅に寄ってから、学校に向かった]
― 回想・2年前 ―
[あの日も今日みたいに雲一つない晴天。
家に帰宅すると母は笑顔で私と双葉を迎えて抱きしめてくれた。
その日の夕食は一際豪華だったけれど 肉 のない料理だった。]
" 若葉、双葉。
今度の儀式でね 母さんが――― "
[話を聞いた時の自分の表情だけは未だに思い出せない。それから儀式が恙無く行われ 久しぶりに双葉と一緒に 肉 を食べた。]
―学校―
こんにちはー。
あれ、万代さんは?
[教室に入るなり口に出す。
彼女は音楽の授業の時はいつも参加しているので、姿がない事を疑問に思ったのだ]
『マシロ先生、今日は来てないよー』
『セイジ先生、朝まで一緒に居たんじゃないの?』
……それは誤解だ。
[ませた子供の質問をばっさり否定しつつも、この事態を放置していいものかと思案顔になる。
ここでいきなり自習にするのも、与えられた役割の放棄と見做されそうだ]
困ったな。
[結局この授業は否応なしに自習となるのだが、それはもう少し後の出来事である]
頂きます。
[盛って貰ったかき氷には砂糖水をかけ、みぞれにして食べた。ごちそうさまでした、と改めて手を合わせる。去っていくセイジを見送って]
……今日は、蝉が特によく鳴いていますね。
[木の上を仰ぎ見て、ぽつりと呟いた。ホズミに挨拶をしてから、男もその場を去り]
[がた、がたたん!
激しい音と共に若葉は椅子からバランスを崩して落ちた。]
いててて…
どうしたんですかー?
[飛び込んできた教諭が告げたのは、1人の人間の死体報告。それは遺体の解剖、解体依頼でもあった。]
アンちゃんが?
――――…すぐ向かいます。
[ともに長く過ごしてきた家族故の虫の知らせのようなものがあった。最初は小さなものだったが、時間が経てば経つほど強い確信に支配されていく]
ねえ、お地蔵さま。
うちのばーちゃん、見てない…?
[村の端、二つ目の地蔵まで辿り着き誰の前でも見せたことのないような弱々しい呟きをこぼす。
ふと、地蔵の裏側の草が倒れているのに気付く]
……?
―小料理屋―
おはよう。ポルテさん。
[若葉が学校へ向かったすぐ後、小料理屋に着くと、水の入った木桶を台所に置いて]
水ここに置いておくから飲んでね。また後で野菜も持って来るよ。
[若葉が来た事や病状を聞いたりした後、残りの木桶を手に畑へと向かう。]
お地蔵さま、ちょっと失礼します。
[地蔵に手をかけ、奥を覗き込む。ごく最近、ヒトが踏み荒らした跡があった]
ばーちゃん?
……いや、一人の足跡じゃない。複数…。
[少しの逡巡を見せ]
ちょっとだけ。ちょっと。
[誰にともなく許しを請うと、さらに奥 ―禁忌の場所― へ進む]
― 村長の家 ―
はぁ、…はぁ、…っく。
お待たせ……しました。
[小さな肩を上下させながら村長の家に運ばれたアンの姿を見る。
最初の発見者がマシロで、アンが森の奥で見つけたことも聞かされた。
他の村にいる医師もその席にはいたが数は多くない。その後、死因を解明するのと同時に腑分けも始められる。
それにより、彼女の死が 自然死とは明らかに異なり、人の手によるものだと解れば村長は人を集会場へ集まるように村中に連絡が走るのだろう。]
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