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ううん、でも―――
…その犯人がアンちゃんなわけない。
[ふるふると首を振る。
事件当時、彼女はまだ子供なのだから、と。]
―――― 私…清治くんの所に、行かなきゃ。
僕の…子供…?
何のことだい?まさか…
[子供と言われて思いつく人は一人]
ははは、なんだ。そうだったんだ。全然知らなかった。
[苦笑いを浮かべつつも、清治から視線を外さずに対峙して]
ねえ、清治君。最後に聞かせてくれないかな?
どうしてこんな事をしたの?
事故でなかったのならば……
セイジさんが言う通り、「殺人」だったのでしょうね。
ですが……
[首を振るワカバに、頷いて]
……ええ。
アンさんが殺された事もまた、殺人です。
犯されてはならない、禁忌だった。
私も、行きます。
見ている事しか、できないでしょうけれど……
……私は、「語り部」ですからね。
[呟くように言って、揺れる左袖を見つめた]
[ホズミに手を取られたまま]
誰かがやったことに…?
[よくわからないまま、迫力に押されて]
どうにかって、どうすればいいんですか?
私は、 家族を…守らなきゃ。
[彼から聞いた「外」の話。それはこの村の風習とは異なるものだけれど、それはそれでいいのだという思いは変わらない。]
ンガムラさん、清治くんを探そう。
きっと、彼が ―――― 犯人だから。
[ダンケに問われて、包丁の柄をぐっと握り]
この村は――僕から母さんを奪った。
望んでもいない子供を産ませようとして――
[――母を押し倒そうとする男。
部屋の隅で震える清治の眼の前で。
抵抗しようとした母は、机の角に頭を強打し動かなくなった]
――ばらばらに切り刻んで。
食べちゃったんだ。何事もなかったみたいに。
[――白い指。オルガンを弾いていた細い指。
五指を全て分かたれたそれは、鉄板で焼かれ皿の上に並んでいた]
子供をたくさん産んで、増やさなきゃいけない事は知ってる。
でも、それを拒んだ母さんは罪人?
母さんを殺したあいつの方が、正しかったのか?
[包丁の切っ先を、ダンケの腹に触れさせる。
少し力を籠めれば、それは容易に腹部に喰い込むだろう]
ダンケさんも……あいつらと、同じなんだろ?
っ…ハ、 んく、…はぁ。
[小さな体に体力はあまりないが狭い村を回る程度はなんとかある。
とはいえ息の上りは早かった。
それでも走るのは、村の民であり医師として、そして ――――家族のために。
ンガムラの走る音も背後から聞こえていた。]
あっ、あそこ!
あれって、せーじくんかな…
一緒にいるのって、―――――
食べるか、食べられるか…?
どちらも、同じ意味じゃないですか。
だって命は巡るのだから。
[小さく呟くと、ホズミの後を追いかけた]
そうだね。この村ではお母さんの方が悪いんだろう。
少なくとも、僕はそう思うよ。
[それは、村に生まれた者としては当然の思考。腹部に微かな痛み。突きつけられた包丁。]
そうだね。僕も同じなんだろう。この村の人間だからね。
[清治に答えつつも、これ以上刃を進ませぬように清治の手を押さえようと]
あれ、若葉さん?
[叫び声を上げ駆けて来る姿に、そちらを振り向き困ったような表情をする]
やだな、これじゃあ……
[切っ先に僅かな手応えを感じながら、思案するように]
[若い男にしては体力が乏しい男も、息を切らしながら走っていたが、何とか足を止める事はなく、其処まで辿り着いた。ワカバの声に立ち止まり]
セイジさん、
[その名を口にして]
……ダンケさん、
[続けて、共にいるその名をも口にした。ほとんど同時にワカバの叫び声が響き渡る。男は咄嗟に駆け出す事もできずに立ち竦み]
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