あぁ、魔女が見つかれば此処を出られるかもな、クレスト。
お前が何か隠しているように俺は思えている。
それが魔女の正体かもしれんが…。
裁判官から見たら、俺こそ魔女なのかもしれんな。
――どっちが処刑されたら、裁判官は満足すると思う、ユノラフ?
…エリッキも探ったんだ。
何も分からなかった。
此処に魔女はいない。もしくは俺では魔女など見つけられない。そう思ったんだが――
……なんで、クレストで、違和感覚えるんだ?
………くそ。
[呻く。]
そろいも揃って俺に謝りやがって。
謝ったら俺が許すと思ってんのか。
[ぼそぼそと、口の中で文句を言う。あるいは不明瞭で聞こえなかったかもしれないが]
おい。
お前、自分のせいで誰か死んだと思って自暴自棄になってんなら止めとけよ? 人を殺したからって平気で生きているやつなんか沢山居るんだからな。
[半眼になってクレストを見る、念押しの様なそれ]
俺に聞くな俺に。
裁判官が満足する? 知るか、直接聞け。俺かもしれんだろうが。
[言い切りは、するが。説得するよりは投げやりな口調ではある]
お前が魔女だなんて、俺は認めねえ。
[うめく声に、無理矢理言葉を押し出す。
ただ、ミハイルの言うクレストの隠している事は気になって、クレストに視線を送った]
どうせなら、最初からこうすれば良かったんだ。
そうすれば二人も死なずにすんだかもしれないのに。
イルマは優しいけれど。
…優しいけれど、きっともう、許してくれない。
[感情の籠らない声。嘆くような言葉。手にしていた髪飾りが、再び草むらに落ちた]
兄さんは魔女じゃないさ。
[呻く姿に、緩く首を振る]
ユノラフさんは、人が良いから。
謝れば許してくれると、思っている。
[神妙な顔でそういって。向けられる視線を見つめ返す]
…僕だよ。イルマを殺したのは、僕。
死ぬのが嫌ならだれか選べって言われてね。
思わずイルマの名前を言っちゃった。
酷い話だよね。昔馴染みで、
変わり者の僕とも仲良くしてくれていた彼女をさ。
[まるで他人事のように、訥々と]
自棄になっているのかな?
もう、よく、分からない。
…自分が魔女だって認める事は処刑される事だぞ、クレスト。
逃げ道、用意したろ。
俺が妙な事出来るって、ユノラフにもお前にも伝えたろう。
――なんで、自分が魔女だって、言うんだ…。
僕は兄さんにも、ユノラフさんにも、生きてほしいよ。
単なるわがままだね。甘ったれだ。
[静かに空を仰いだ]
でも、仕方ないね。僕は魔女だから。
[声の震えは、努めて気づかれないようにした**]