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…………
[寄り着て己を踏む足を容れず厭わず、雪の上に再び付してトゥーリッキを見上げる。獰猛な獣のごときいろの眼差しを受け、滲む視界―――飛ばされた折に眼鏡は落ちたらしい―――を細めた]
………そうですね…
[押し殺す声は寒さにも別のものにも震えず、吐き出す息と共に刹那だけ冷たい大気を白く染める。視線で追わず傷口の開いた手だけで地面を探り、眼鏡を見つければかけ直す―――寝転ぶ正面には紅いオーロラ]
…ありがとうございます。
──離して!
[ガン、と痛みの衝撃が脳裏を掠めるから。
ゆがんだ視界で捕らえる彼に、振り下ろした鉈は空を切るかせめて髪でも奪えぬか]
私が綺麗言?そんなの、知らないわ。
私はしたいからするだけ。
貴方も同じではないの
「姉様」
[口元が痛みに声を伴わずそう動く。
こんな男に殺されたくなんてない。
約束は守って。姉様、と
今、頭がかろうじて回るとしたら
肩から流れ落ちる赤くて暖かい液体のせい
あぁ、勿体無い。雪に飲ませてやるなんて]
[男のべたついた髪が ひとふさ落ちる。
男が彼女の手首を離すのは、鉈が男の身体に埋められた時なのだろう、硬く硬く 握りしめて]
…―――おなじ、か、同じかもしれん…
――言葉を重ねて、誤魔化そうとしているのは
[引き寄せれば、彼女の首元の位置も判ろうか。
男は、杖を女の背で落としその首に 手をかけた
…俺、か…――?
[彼女の口唇が動くのを
男は、気づく事が出来ない。
掴んだ手首を引っ張り上げ その内側を一度 ちろ と 舐めた]
[男は程無くして目覚め――辺りへ視線をやった。ぼんやりとしたのは一瞬だけ。すぐに覚醒し切り、立ち上がる。暖炉の火を消してしまうと、小屋を出て]
……嗚呼。
[零したのは白い溜息一つ。冷えた空気を縫うように、緩慢な歩みで、雪の上を歩いていく]
願うだけなら、ね――……
せいぜい口にはせんようにする。
[からかう声に少し拗ねめく気配。]
"殺し"の意味――生かす意味がわからなきゃ
わからないんじゃないかね。
トゥーリッキは……
[口に出し、言葉は飲んだまま。
今はイェンニとマティアスを見て*いる*]
[青年の胸へ載せた脚は、鋭い動作ですぐに引く。
溢れる赤が新雪をよごすと、蛇遣いは眉を顰めて
粉雪塗れのレイヨを咎める如き面持ちで見遣った。]
…あまり、それを零すな。
おおかみを遠ざけるに難儀する。
[差し上げましたと口にする彼へ、それでも鷹揚に
頷いて――厚い毛皮を首元へ掻き寄せ背を向ける。]
いざという折に力が出ぬでは…
庇ってくれたカウコに、申し訳が立たん。
…イェンニに、会いにゆくのだ。
約束を果たしたなら、訪ねよう。
[横殴りの風雪、激しくなりゆく吹雪。
ぐず、と鼻先へ音を立て蛇遣いは足を早めゆく。]
礼の仕返しと、
時が足りぬかどうかは――その折に*。
この、下種……──!
汚らわしいにも程があるわ!
[舐められた手首に、彼には見えなくとも、誰にも見せたことのないほどの嫌悪の表情をさらして。
鉈を持つ手に力は入らない。
ドサ、と音がするのはそれを落とした音。
得物を失った手は彼の頬をはたこうと再び振り下ろす]
姉様…姉様、姉様……!
本当に…―――
………困ったものです。
[差し出したものと同時に貰いうけたものを想えども紡がず、車椅子から転げ落ちた求道者はわらわない。冗談めかぬ口調で訥々と夜気に零し、トン、と宥めず労う態で胸元から引き上げる足を叩き、苦しげに息を吐いた]
………はい…
早く行って下さい。
[のろのろと緩慢な動作で身を起こし、指摘を受けた指先を口に含む。紅い、鉄にも似る、ちの味]
いってらっしゃい。
[再会を願う見送りの言葉を添え、トゥーリッキを引き留めはしない。暫くは空けぬ夜の下、車椅子に寄りかかり紅いオーロラを仰いでいたか*]
[ぱああん、と、冷たい空気の中
頬を叩かれた音がやけに響く。
彼女の嫌悪の声に 男は
口元に歪んだ笑みを、浮かべた]
…――女の悲鳴を、近くで聞くのは、
――ひさしぶりだ…
[くくく と 喉奥で音を立てる。
叩かれたままの角度で頭を止め]
[いつの間にか戸外に出てきたマティアスの犬は。
円な瞳を輝かせ――ころころと転がるように駆ける。
あん
――ひと鳴きと共に、跳躍。
ひとの血肉の味を覚えた仔犬が、喰らいつこうと
おさないながらに鋭くも鈍いその牙を向ける先は]
[女の手首を舐めたばかりの、*盲男の紅い舌*]
カウコ…―――
[去ったトゥーリッキの紡いだ名をなぞり、彼の死を未だはっきりとは知らずも、舌の上に広がる血の味に想う事。地を踏まず腕だけでやっと車椅子に戻る折、そこに小さなナイフを見た]
…………
…もう申し訳は立たないんじゃないかな。
[狼を遠ざけるのに難儀すると零したトゥーリッキをいかせ、車椅子に座す求道者は呟く。キィキィキィキィ…―――血の滲む指先は冷えて感覚も鈍いのは幸いか、激しくなる吹雪の中を長老のテントへ向かい進む]
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