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/*
いやあ。お見事すぎる。お見事すぎる。
狼と占い師が突然死かー。
トゥーリッキLWがんばれ。
そしてカウコとウルスラはお疲れ様、お疲れ様。
あー……
遺言、何書こうか悩んだまま書いてなかった('A`)
鏡が割れるとかはこの際どうでもいいけど
腕、トゥーリッキにあげたかったな(いらん
*おやすみなさい*
迂闊なやつだな。
お前が何を気にしたかを、
他者は気にする――という話だよ。
[湯を注いだ茶をよく蒸らして煎れ、マティアスへ。
和らぐ空気の中、蛇遣いの眼差しは――――]
そしてあたしは、お前からあることを
問い詰められないことをひとつ、気にしてる。
[思いつかないならいい、と素っ気なく口にして、
しばらく彼と時を過ごし…その夜は更けゆく*]
彼の声は…
[届いたのでしょうかと呟きは尻すぼみに語尾をあげず、続いた言葉にカウコを見て瞬く。脳裏を過ぎるのは長老の言葉―――暴虐を阻む者]
貴方は…―――、………
本当なら貴方こそ生きるべきです。
僕は誰も護れない。
いかすにも誰かの死が前提なんです。
[カウコへの怯えより勝る感情が、普段は荒げぬ声を僅かに大きくさせる。―――血を分けて―――眼鏡の奥で見開いた瞳が、揺れた]
…お礼なんてしません。
言いません。
[ふて腐れたような物言いは珍しく溢れる想いを隠さず、感情のままに犬歯が食い千切る指。パタタ…流れる血は想いと同じく溢れるから、彼の望む量には足りただろう]
貴方なんて…
―――死ねなければいい。
[パタリ―――カウコと珍しく人の名を呼ばわりに差し出す血と共に、恨みがましい呟きが零れ落ちていく。爆ぜる薪の音、気をつけてとも言えず彼を見送ったのは無理に茶を勧め*引き留めた後*]
まぁいいことを教えていただいたから
対価を。もうご存知かもしれませんけど。
ビャルネ様、姉様…トゥーリッキを潔白、といったそうですわよ。
ビャルネ様はビャルネ様で、姉様とウルスラに変なことおっしゃったみたいで。
案外、カウコがそれを知って殺したのかも、知れないわねぇ?
[淡々と話す彼に、春風のような言葉を落とし、その場を辞して*]
…ふむ。
――音と臭い…気配?
何時も…気にするものだが…
[呟いた声は、やはり低い。
問詰められない事、という言葉には、
はて、と、まるで生徒のようにとぼけた声をひとつ 返して]
ビャルネが、トゥーリッキを潔白だと。
……そうか。
[場を去る前に教えられた内容には、瞳に思案の色が過ぎった。歩いていく。雪を踏む音は静寂によく響く]
真は、何れか。
見極めん。偽りに呑まれないために。
[呟きは雪に吸い込まれるように消え]
[遠のく意識。
次に気がついたときには
見えるはずのないものが見えるようになっていた]
……ビャルネかい?
[そこで確認する。
自分が既に*この世のものではないことを*]
[それは何時ごろ行われた惨劇だろうか。
あらたに雪が赤に染まったころ。
その様子を見ていた男はふと、聞こえた声に視線を向ける。]
……ウルスラ、お主もか……
やはり、死してもそう簡単に、この村からは離れられないようじゃなぁ。
[うすらぼんやりとした姿で宙に漂う男は、
獣医の言葉に静かに声を掛けた**]
[歩みを、ふと止めた。コートの前、ボタンとボタンとの間にある隙間に手を入れる。取り出したのは、ベルトに挟まれていた物。普段はコートに覆い隠されている――幾つかの武器の一つ。
刃渡りは二十センチ程だろうナイフ。革製の鞘を取り去ると、銀色に輝く鋭い刃が現れて]
……、
[その光を見つめる瞳は常よりも色濃く憂いを孕む。
時に危険を帯びる任のさなかで。
男は人を傷付けた事がある。そして――殺めた事も]
―――…、………
[カウコが去って後も焔を見つめて、思索に沈み揺らめく色を見ずとも写していた。車椅子に座して考えていたのは経験のない人の殺め方かも知れず、揺らめく焔が面持ちの影を濃くする]
いかす術は…―――
[胸元にしまう丸薬の容器を服の上から摩り、車椅子の背にそっと忍ばせたのは草木を刈る用の使い慣れた小さなナイフ。手に馴染み見慣れたはずのナイフは、別物のように写り眼差しを細める]
…しないでなくのはたくさんだ。
……飽和を。終末を。
そのようなものが、なくとも。否。ないとするならば。
私は。どうすれば、良いのだろうか。
[ナイフを持った腕を降ろし、呟きながら歩く。やがて見えてきた姿に、立ち止まった。ウルスラ。抜き身のナイフを手にした男の姿は、彼女の目にはどう映ったか]
……ウルスラ。
[呟くようにその名を呼び、一歩一歩、近付いていく。それに伴い、彼女は離れていこううとしただろう。その距離を詰めていく間は、悩む間のようでもあった]
書士 ビャルネは、ここまで読んだ。[栞]
[突然に一歩、駆け出すように踏み出して、空いている方の手でウルスラの腕を掴んだ。ウルスラは驚いたような表情をしたか。その顔に顔を寄せ、間近に見下ろす。ナイフがなければ、愛の告白をするかのような様]
……すまない。
[だが、囁く言葉は、愛ではなく謝罪で]
あるいは。謝るべきでは、ないのかもしれないが。
それでも……
[見た目は細身気味ながら、充分に力を具えている男は、女である相手を逃す事はない。ウルスラの表情に焦燥や恐怖が浮かんだなら、僅かに眉を下げて]
[ずぶり、と。その胸にナイフを突き立てた。切っ先から沈んでいく刃は、およそ正確に心臓を捉え]
……
[滲み出る血が刃を伝い、白い手袋を赤く染めていく。一度捻るようにしてから、ナイフを抜き取った。掴んだ腕を反対側に押すようにしながら。その反動でウルスラの体は背中から雪の上に倒れ]
……嗚呼。悲しきかな。
[倒れゆく体から勢い良く噴き出す血を、男は浴びた。多量の血によって、紅いコートはただ濡れたように。代わりに、薄い色の髪と顔に飛び散った血が目立ち]
[そして、眼鏡のレンズにもかかった血のせいで、視界のところどころが赤い点で隠されていた]
……刻み込まなければ。
どこまでも……幾つも、幾つも。幾つも……幾つも……
[どこか熱に浮かされたように呟く。その場に既にレイヨがいたか、訪れたならば、そこで気が付いたように其方を見やっただろう。向けるのは虚ろな瞳。血に濡れた姿で、一瞬、仄かに――口元へ、笑みを浮かべて。
普段けして浮かべないそれは、愉しそうでも嬉しそうでもない、形だけをなぞったような物だっただろう]
[見えぬ方が聞こえるものもあろうかと、マティアスの言葉を思い返し曇った眼鏡ははずしたまま。キィキィキィキィ…―――車椅子に座す求道者はウルスラの家を目指して、道中にアルマウェルと探し人の姿を捉える。
滲む視界でなければ逆に彼らは愛を囁きあって見えたのかも知れないが、今はそれがどんない遠くとも仲睦まじい二人でない事を見て取れた。まだ会話は聞こえずも、瞳を凝らすより彼らに近づいていく間に―――アマルウェルの振り下ろすナイフ]
………あ…ぁ―――
[急いで向かうより静止を叫ぶより誰かの名を紡ぐより、ただ掠れたうめきにも似る音が洩れる。ウルスラの倒れていく姿を、血を浴びる紅いアルマウェルの姿を見開いた滲む視界に写して呆然と…]
………アルマウェル…
[眼鏡をかける事もつるに歯を立てる事すら忘れ、血に濡れる彼を見上げる。幾つも幾つも―――繰り返される言葉の意味を汲めず、向けられる感情の読み取れない滲む笑みに眼差しを細め、下がる眉は前髪に隠れど面持ちは隠せず]
どうして…―――
[震える口が掠れた声で問いにならぬ問いを零し、眼鏡をはずそうとしてやっと眼鏡をかけていないのに気づく。眼鏡を取り出しかけなおせば、輪郭を取り戻す夜に眼鏡すら血に濡れる紅いアルマウェルが鮮明に見えた]
…………
[キィ…―――倒れるウルスラの傍へ寄り、身を乗り出し手を伸ばす。瞳が開いていれば眼鏡をずらし光失う瞳を覗き瞼を閉じさせ、額に触れようと]
僕は彼女を殺そうと思いました。
…こわかったから確かめたかったんです。
…―――
[訥々と語るも謝罪を呑み、まだ温かいウルスラに触れる手は、ビャルネに触れた時よりいっそうに躊躇い震える。アルマウェルの存在を気にはするも、胸元から容器を取り出した]
……レイヨ。
[軋む音。近くまで来た彼の名を呼び]
どうして。何故か。
為さねばならないからだ。血を以て、血を。
早く終結を迎えなければ……終焉が来たるからだ。
[問われる理由に、ぽつりぽつりと口にする。血を浴びた男の姿は、凶兆であるオーロラにより似ていたか]
死を。多く見たくないからこそ、殺した。
しかし。見たいからこそ、殺したのかもしれない。
[ウルスラに寄っていくレイヨを見据えながら返す答えは――疑っていたからだとは、言わないもので]
為さねばならぬ事は…
血を以て血を漱ぐ事なんでしょうか。
貴方の仰る終結は何で終焉がなんなのか…
僕にはわかりません。
貴方は死を見て何を感じられるんでしょう。
[紅いオーロラに似るアルマウェルへ訥々と返す間も、自らも殺そうとしたウルスラから視線をそらさない。飛び散り溢れた血の勢いは失せど、胸元から溢れる血は周囲の雪を赤黒く染めて広がっていく]
―――…ウルスラ…
[どこか正体を失って見えるアルマウェルの傍ら、それでも早く確かめようと丸薬を舌に乗せる―――塞がりきらない指先のカウコへ差し出した血の味が混じる。カクリとすぐに深い深い死の淵へと眠りに落ち、項垂れるように頭もさがった]
―――…、………
…………
[アルマウェルの傍ら車椅子に座すまま、半ば仮死状態で動かぬ時は長くはないが決して短くもない。咳き込み見開いた瞳からはぱたぱた涙が零れ、肩で息をしながらウルスラの遺体を見た]
違う………、…―――
彼女は狼使いじゃなかったんだ…
前に言った通りだ。血を以て、血を制する。
元凶を見付けん。事態を粛正せん。
狼遣いを処刑し切る事が、終結だ。
この村が滅びる事が、終焉だ。
[問い掛けには淡々と。
最後の問いに答える時だけは、少しく目を伏せて]
……悲しみを。寂しさを。苦しさを。
そして、恐れを。
[低くした声は若干震えを含んでいたかもしれない。丸薬を飲んで気を失うレイヨに、瞬き――やがて目覚めた彼の口からウルスラの無実を聞くと]
……そうか。……残念だな。
村の終焉を僕も望みません。
事の終結を願っています。
でも狼使いを殺せばすべて終わるんでしょうか。
狼は村を襲わずかえるんでしょうか。
[明けぬ夜に靡く紅い、禍々しくも美しくも見えるオーロラとよく似たアルマウェルへ、向き直る。伏せられる目、幽かな震えを含む声が語る―――死]
………残念…
きっと狼使いを見つけても残念です。
それで終わらなければ。
終焉から逃れられないというのならば。
その時は、諦めるしかない。
ただ。わからない事だ。
為さなければ……その後が、どうなるかなど。
[暗い空を、紅いオーロラを、仰ぎ見て。見つけても。そのレイヨの言葉には返事をせずに]
……レイヨは。
遠い過去を、覚えているか?
[代わりに、一言、問う]
私は覚えている。全てを。何一つ、忘れる事はない。
私はまじないなどできない。狼も操れない。
唯一、……記憶力だけは、必要以上に、甚だしい。
[オーロラを見ながら語る言葉は、告白のように]
それ故に。
この目に見たものならば、死も、けして忘れない。
[そこでふと、レイヨに向き]
……だからこそ。見たくない。
せめて。飽和させられればと思うからこそ。
見たいとも、思う。
[見たくないから。見たいから。先程そう返した「理由」を補足するように重ねる。暗い瞳に僅かに過ぎった色は、狂気に近かったかもしれない。――狼遣いのそれとも、揺らぐ者のそれとも、違う]
……矛盾。
愚かしいな。
[吐き捨てるよう、独りごちた後]
……。それでも。
村を救いたいと思っているのは。
そのためにこそウルスラを殺したのは。間違いない。
……特別に疑っていたわけでは、なかったが。
……、私はウルスラの件を伝えて来よう。
ウルスラは、誰か他の者に。
必要があれば、後で私が手伝っても良い。
[最後は使者としての表情と言葉に戻り、告げた。それから、血に染まった姿のまま、歩いていき**]
[狼たちの嗅覚は、ウルスラの死を知らせるが、
遣い手の感覚には他に――薄れてゆくものがある。
繋がっていた、対たるたましいのそれ。
群れを率いていた者。……帽子の男。]
…保てなくなって しまった か…?
[ひととおおかみの境を。個と群れの境を。
蛇遣いは呼ぶが、応えがないこともまた悟る。]
―――― …
[風が吹く。]
殺されたのでは、ないのだな。
死んだのでは、ないのだな。
[雪が舞う。]
保てなくなって しまったのだな。
[丘の向こうには、
蟻の如き列すら成せる、狼の大群。]
群れに頭目は独り…
そういうことなのだろうかな。
[見遥かす必要もない。感じて…呟くだけ*]
[生きるべき、と言われてうつむきがちに帽子に隠す顔。]
ドロテアを見捨てた時から、俺は役立たずだ。
――長老にさえ、言い出せないまま。
誰も死なないなら、そうかもな。
でも、人は死ぬ。
今だって何かが起こっているかもしれない。
守る、って言葉は、必ずしも直接的じゃないだろ。
[だから、お前は死ぬな、と添える声。]
[レイヨの揺らぐ眸に自身は何も映さず、分け与えて呉れる血液に、さんきゅ、と返し。]
――あ? んなもん、いるかよ。
仕事だ、仕事。
[礼の拒否には常の口悪さを蘇らせて返し、呪詛にも似た案ずる声には目を細めた。
珍しく呼ばわられる名――茶の誘いには、幾度か瞬き、されど拒否することなく席に呼ばれて後にした。]
――そういや、"約束"どうすっかね。
もしも――……なら、左腕くれてやるつもりだったが
ひどくキズものだな。 …まぁいいか。
[もしもを考え切れぬうち、道々呟く独り言。レイヨの家で暖まったおかげかまだしばらくは温度に余韻を*残す*]
―― マティアスの小屋 ――
…「見えない」はずなのに、
どうして気にしないのだろう――
そう思うことが、あってな。
[先に口にした、問い詰められないこと、には
随分と経ったあとで…ついでのようにそう添えた。
その頃には、もう仔犬は蛇遣いかマティアスか
どちらかの膝陰ですくうすくうと寝息を立てていて]
…。
[外では…風が吹く。]
音や気配と言えば、"49"。
お前の耳には―― 例えば。
[煽られ…雪が舞う。]
いくつのも丘向こう…
あのやかましいスノーモービルの
エンジン音なども聞こえてきたりするのかね…
[昔ながらの暮らしを続けるこの地は、特区として
保護を受けている。然し如何に文明へ背を向けようと
近代化の波は近からずとも遠からず在って――
遠い地から流れ来た蛇遣いは、この地へ至る道々、
犬橇の代わりにスノーモービルでトナカイを追う
遊牧民も少なからず居るのを目にしてきている。
使者として近隣を往来するアルマウェルや、
蛇遣いと同じく流れ来た移住者のイェンニも
ここは稀有なる村…とそれは知るところだろう。
或いは、何処から来たともしれぬマティアスも。]
[――吹雪が、近い。
戸口の覆い布が、隙間風に裏打つ気配。
相手に聞こえたならどうだというようなことを、
蛇遣いが口にする前に―― 凶報をたずさえ、
緋色の外套を纏ったアルマウェルが訪ね来る。]
殺した…のか。
ウルスラ先生を。
[獣医たる彼女の姿は、記憶にあたらしい。
生ける師もまた、かの地へと――蛇遣いは俯く。]
村の命綱を…切った、のだな。…
おおかみ遣いは、人の心を利用する…
ウルスラ先生が言っていた、ことだが。
[耳にあたらしい…聞かされた折は、そう感じた。
大体においてそうなることは知れど、そうするとは。
嘘を矛とするやりかたは、ビャルネが見せてくれた。
その彼は思いがけず転がり、死せる師となった。
今…生ける師もまたふたりめの死せる師となって]
…。 居合わせたなら、違わず止めた。
…恨むぞ。アルマウェル。
[ぽつと言い残して、悄然と眼差しを地へ向けて。
使者の脇を抜けると…自らの住まいへと帰りゆき*]
[トゥーリッキの言葉に僅か、眉を寄せる。
男は普段から言葉を多く保たず、話すも言葉を探すのに時を要する常]
エンジン音…は―
…聞こえない様に、している…――。
[低い声は、囁く様な大きさで添える]
…―聞きたく、無い…。
[風の音が雪に染込む。
腹に響く音を、男は骨で感じる。
―使者たる男の扉を開くに、顔を向け。
死したらしき名を、口の中で呟いた]
…そうか。
――機会があれば、俺も…―したかもしれん…。
盲にできる程度の事ではないと言われるかもしれんが…
[誰を、を考える事よりも
いかにして、を考える方が]
[トゥーリッキの自身とは相対的な言葉に、僅かに口の端を歪める]
…「誰を」ではなく…
「誰が」なら―
恨まれないんだろうな…?
[呟いたのは彼女が小屋を出る背にで。
男は小さく息を吐いた*]
[見上げる紅いアルマウェルの背後には、靡く紅いオーロラ。彼の問いに自らの過去を振り返れども、曖昧模糊とした記憶を掴めず小さく首を振った。
―――覚えている―――ウルスラの血に濡れた空を仰ぐ横顔を見て、彼の言葉に耳を傾ける。向けられる顔を見上げていたのは、下がる眉の他を前髪では隠せない面持ち]
………忘れる事がないのなら…
産声も営みも覚えておいででしょう。
[吐き捨てるように紡がれた言葉を受け、眼鏡の奥の眼差しを細め訥々と零す言葉。村を救いたいと言うアルマウェルが、氾濫する死に呑み込まれてしまわぬ事を願うように。
ウルスラの後に関しては少し考えて、ヘイノに助けを請う事を添える。使者の面持ちを取り戻す彼へは、自らの眼鏡に触れて指摘し去り行く紅い背を見送った]
………人を呼んできます。
[ウルスラへかける囁きは、ひとり残す事を詫びる響き。キィキィキィキィ…――――車椅子の跡はヘイノの家へと伸びて、香りを頼りに訪ねた折と同じく入り口を見る]
…レイヨです。
遺体の埋葬に手を貸して頂けませんか。
出来れば貴方のお話も…―――
[返らぬ答えでなく何を感じてか、言葉は途切れ視線は足元へ落ちる。まだ新しい足跡がトゥーリッキのものとはわからずも、踏み固められた家の前まで続いていた]
…………失礼します。
―― 悼む場所にて ――
…せんせい。
[凶報を運ぶ使者の知らせに、容疑を受けた者も
そうでない者もぱらぱらと集まりだす頃合――。
朱に染まったウルスラの亡骸の傍、蛇遣いは屈む。
手にするのは、ビャルネの杖とあたたかな毛皮。]
…今宵は、脱いで身体を冷したりはせんよ。
だから先生も――あたたかくしててくれるといい。
[自宅から持ち来た、死せる師のための厚い毛皮。]
…もう 伝染(うつ)したくはないからさ。
[ぐず、と寒さにか鼻先へ濡れた音を立てる。
自身の毛皮の裡で、大蛇の顎下を柔く擽ると――
浅い冬眠の淵からゆらり、相棒が鎌首を擡げる。]
お前を救ってくれたせんせいが…
死んでしまったよ。相棒。別れをするかね。
[シル、と先割れの蒼い舌が鈍く覗き…大蛇は動く]
[ウルスラの骸の上、蛇は某か確かめる態で這う。
零れ出た鮮血。彼女を撫でた紅い極光、死の気配。
傍らへ杖置き、蛇遣いは素焼きの笛を取り出す。]
…――
[ぅうう][うあぅあう][うぅい いぃうい…]
[悲哀含むもとむらいには向かぬ、異郷の音色。
しろい蛇は、ぞろり ウルスラへ頬摺りをして…
――――蛇遣いの意に反し、踊らない。]
嗚呼。
あたしのわざは――
[やがて途切れる、悲哀の音色。蛇遣いは呟く。]
未熟なまじないにすら、届かぬらしい…
[そのとき既に、報せは受けるもこの場へ辿り着く
ことの叶わなかったカウコが、村外れで狼の群れに
その四肢を引き裂かれはじめていたことなど――
為した者の他には一人とて。
誰も見ぬこと知らぬ*こと*]
…
必ず、滅ぼさなくてはならぬ。
[ほろり、零れ落ちる先。吐く息はしろく、薄い。]
より美しく、凄惨な滅びを――だったな。
ああ。 あたしも視たいのだよ。
終の住処たるこの村の、
やがてうしなわれる「貌」の総てを な…
それはきっと、対たるお前と同じ望みなのさ。
[遣りようの違いは、あったのかもしれぬ。
互いが持つ、ひととおおかみの境も。――なれど*]
[血が付いてしまった眼鏡は、一旦外した。レイヨ程ではなくも、ぼやけがちになる視界。
伝達へ向かい、マティアスの小屋を訪れて見えた顔は、小屋の主であるマティアスと、もう一人、トゥーリッキ。殺したのか、と確認されれば、無言で頷いた]
……恨めば、良い。
[恨む、と言うトゥーリッキに、抑揚も薄く返し、去っていく姿を見送った。少しの間、マティアスの姿を見据えてから――言葉は落とさず、小屋を後にして**]
―― 回想/村外れの木立 ――
[呼び出したのではなく…行き合った。
――カウコが歩いていたのは、人気のない村外れ。
人相の悪さで損をする知己はその時間
そうせずにはいられなかったのだろうし、
蛇遣いは蛇使いで、知己が独り出歩いて
居なければ今宵はそれまでと考えていた。
互いの姿を視界に認め、別段確かめるも無かった。
音もなく――
カウコの背後から、3頭の灰色狼が襲いかかった。]
[おおかみが2頭ならば、
1頭は村の男たる知己に叩き殺されていただろう。
おおかみが4頭ならば、
2頭は知己の機転により同士討ちを誘われたろう。
蛇を連れた遣い手は、そのどちらをも許さない。
些細な采配が、「群れ」の頭目たるを示していた。]
…悲鳴も上げてくれんのかね。
吝嗇(けち)め。
[さくり。
新雪の上、狼たちに載しかかられ押さえつけられた
カウコへとビャルネの杖を持つ遣い手が歩み寄る。]
うむ。
別段、今夜でなくたってよかったのだけどさ。
むしろ、
お前が死ぬこともないと思ってたのだけどさ。
[…目の前に、屈む。知己の貌を、覗き込む。]
ふと、だな。
[見詰める面持ちは、笑みでなく――]
…【 お前ひとりが、報われる 】…
というのは、どうだろうと思ってな。
[まだ深手も負わず生きているカウコを、知己を。
既に過去へ追憶するが如く寄せる情に満ちていた。]
[背を踏み伸し掛るおおかみの重みにか、
カウコが密かに喘ごうとした刹那―――
ごしゃり、と。
蛇遣いは、親しき知己の口腔へ
厚い毛皮に覆われたブーツの爪先を叩き込んだ。]
カウコ。
ドロテアに会えたら…訊いておいてくれ。
ほんとうに村が永らえるために
その身を捧げてくれたのなら――
何故、毒を喰らっておかなかった?
[相手に口を開かせぬ――
否、顎骨まで開かせた儘の、詮無い問いかけ。]
あたしには、わからんのだよ。
『 ……お気の毒様。 』…
ドロテアの、あの台詞>>0:43がな。
[自らの血泡へ溺れかける態のカウコの口腔から、
樫の瘤で補強された靴先を抜いて――雪で拭う。
匂いは後にウルスラの血溜まりを通れば紛れるもの]
…寒そうだ、カウコ。
お前にも伝染(うつ)ってしまったろうか――
[ひときわ大きな体躯のおおかみが進み出て、
遣い手はその背へと慣れた仕草で腰を下ろす。]
…最後に酌み交わした酒、…旨かった。
[ふわり 靴先は浮いて――胸裡にある儘を。
告げる別れに、確たる感謝も詫びもない。
たった数歩の人形の足跡は、狼の群れがこれから
食餌の間に踏み消してなくなってしまうだろう。]
[紅い極光に、透けて見える大きな月影。
そこを横切るように、遣い手を乗せた狼が跳ぶ。
降りる雪を薙いで、ビャルネの飾り杖を一閃。
地へつかず水平に振られた杖は…音を立てない。]
今でも、――"あたたまっているよ"。
[…それを合図に、森へ潜んでいた無数の狼たちが、
地へ這わされたカウコへと一斉に爪牙を以て群がる。
残す言に反して、ぐず、と鼻先の音は風に*攫われ*]
―― 回想/村外れの森 終了 ――
[名前を呼ばれて振り返る。
そこにはナイフを手にした使者の姿があった]
…アルマウェル?
[危険を察知したのか、じりと後ずさる]
[突然腕を掴まれる。
思ったよりも強い力で振りほどくこともできない。
それでも悲鳴は上げず気丈さは保ったままで]
謝るくらいなら、最初っから
やるんじゃないよ。
[アルマウェルを睨みつけるような視線を送る。
しかし、ナイフが閃き血を零し始めたのは
その直後だった。
何が起きたのかも理解できず、
その刃だけが脳裏に焼きついたまま意識を手放した]
ちょ、よくみたらwww
更新まで2.5hもあるのにpt25て
トゥーリッキ何してんの><
嬉しいけど何してんの><
ウルスラはサンドイッチしまくってすいません。
[ビャルネの言葉に苦笑いを浮かべて]
そんな簡単に離れられるんだったら、
とっくにそうしてるよ。
ましてや、死ぬかも知れないとあってはね。
結局、狼遣いはどこに紛れてたのかねえ。
[アルマウェルが自分を見据える間
冷たい空気に晒される侭に、見えぬ視で顔を向け返して居た。
動きが緩慢なのは、寝息立てる子犬が起きぬよう]
…――、
[乾いた果物の入った籠に手を伸ばし
口にひとつ 入れる。
――もごり、噛むと甘い汁が咥内に染み込んだ]
[トゥーリッキの淹れた茶はもう冷えている。
半分程残ったその器を両手で包んだ侭
男は随分と長い時間をそのまま過ごした]
[ウルスラの言葉に、それもそうだというようにゆるくうなずく。]
そうさのぅ。
なんだかんだと離れられなかったのは、わしらのほうか……
[狼使い、という言葉に、村へと意識を向ける。]
狼使い、か……
[ふと、呟いた言葉に、案じる響きが混じる。
カウコを襲った狼を指揮したものとは、別のものを――]
[夜続く今、時間の感覚が薄い。
男は手を伸ばすと冷たい家具に触れる。
木は、床から冷たい温度を吸い上げて居て]
…――、
[暫くそうしてから男は小屋を出た。
ざりざりと雪を杖の先で擦ってから、
足を踏みだす]
…―――、………
[ヘイノの身に何が起きたのか、差し入れられた芋と鱒の塩煮の器は空になっていただろうか。名を記された札は並んでいたか、血の湛えられていたであろう器は床に転がり、赤黒い色を広げていた。
覚えある色と臭いに彼も誰かに殺されたのだろうかと考えるも、倒れた当人に外傷はない。火の消えてどれくらい経つのか、部屋はもう冷たくなり始め]
いったい何が…
[キィ…―――ヘイノの傍へ寄り、開いているなら瞼をおろして額に触れる手。まじない師かも知れないと考えた人物の死を前に、行動の手順を覚えていても状況の把握が間に合わず、混乱して躊躇い小さく跳ねた]
………ヘイノ…―――
現実、いまだにこうやって
村の辺りを彷徨っているわけだからね。
我ながら未練がましくて嫌んなるけどさ、
結局終わるまでは成仏できないんだろうね。
この調子だとさ。
[どこか他人事めいた物言いでこたえる]
そういえば、カウコは狼にやられたんだね。
その前は狼に動きはなかったみたいだけど
いよいよあいつらが「本気」になったのかねえ?
離れられないのならば、最後まで見届けるのもまた一興じゃろうて。
[生前と変わらぬ口調で答える男は、生ある者達へと意識を向ける。]
ああ、カウコが狼に食い殺されるところなら、見ておったよ。
もともと彼らは本気じゃったろうて。
[動けなかったのには、なにか別の要因があるかのよう。
見知ったものを語る口ぶりで呟き。
もっとも――今はもう、彼ら、とは表現できない狼使いへと視線を向ける。]
ヘイノとラウリはどうしたんじゃろうなあ……
[時を置かず丸薬を舌に乗せる手は、目覚めの不確かさに震える。かたちを違えど身を削るまじないがヘイノを蝕んだのか定かではなく、ただ訪ねた折に彼へ投げた言葉の責を取れずも眠りに沈む]
―――、………
…………
………狼使いは、貴方じゃない…
[ゼ、と肩で息をしながら倒れるヘイノを見て、歪む面持ちは目覚めに流した涙と相俟って泣き顔に似る。眠りに落ちる時のように項垂れ、住居者の遺体と部屋にある時]
………どんなお詫びをすればいいんですか。
他にも誰か亡くなったんですね…
眠りの先でほんの少しだけ気配を感じました。
そうだね。
こんなことになってちゃ、他にやることもないし。
[諦めもついたのか、
あっけらかんとした口調で言い放つ]
元々本気…動けない事情ってのも謎だね。
好きなように操っている以上は
最初から食欲なんて関係はないんだろうけど。
…少なくともヘイノの死因は狼とは無関係、か。
[視線はヘイノ宅にある亡き主の死体と
車椅子に乗った訪問客に注がれる]
―知己と見えた最期の刻―
[レイヨから受け取った血は呪へと吸われ。
確実なのは、今日レイヨが狼には殺されないこと。
全ては巡り合わせ。
本人の血を得て、自らは指先からのひとしずくで事足りたがゆえに安静を欠いた。
其の日、其の時、其の場所でなければ"そう"はならなかっただろうか。]
……――。
[予感はあったのかもしれない。
されど微塵も感じていなかったのかもしれない。
そこで見えた影に――名を呼べば、軽口のひとつも叩き合う彼女にかける声はなく。]
[ざわついたものが何かを知覚する前に、背後から飛び出した暗い塊は――3つ。]
……―ちっ
[一瞬の反応の遅れが明暗を分ける――。
3という数が一瞬以上の空白を生み出したことが明白なら。
押さえつけられながらその采配を振るった"狼遣い”を睨みつけたとて威嚇にもなりはしない。]
――、あ? ざけんな、
悲鳴も、あげさせなかったくせに、よく言うぜ……。
随分と、でかい……"一発"に、なっちまったな。
[大した抵抗も出来ず3匹の狼に押さえつけられた体は、それでもまだもがこうと力を入れるも動かせはせず。]
[今夜でなくとも。死ぬ事もないと。
目の前に屈んだトゥーリッキに。
押さえつけられたまま攻撃も出来ず――だからといって詫びも媚びもせず、敵意を込めるまま見上げ。]
……、どうだっていいんだよ、んなことは。
お前、……、なんで――、
[続きを飲み込んだのは、終まで言うを躊躇ったのやもしれず。
明かされる"ワケ"に怪訝な顔を向けたのも一瞬、]
今ー―この瞬間に、俺が、……っ
―――うぶ、……、っ、
[言葉の合間、かかえる重さに吐き出しかけた息ごと、トゥーリッキの靴先を叩き込まれ――脳髄まで響いた衝撃と刹那消える視界と。
首か口腔か顎か喉か、チカチカ巡る痛みと程なく訪れる酸欠に続く言葉も奪われ――されど意識までは奪ってもらえず――]
……っ、ん、
[震えたのは寒さにか、それとも虫の息と化した体の起こす痙攣ー―言葉が耳に届いても記憶まで沁みたかどうか。
相手が靴先を抜く頃には、狼の抑えがなくとも動けはしなかっただろうけれど。
"頭目"が去り、無数の狼が囲うを感覚だけが理解し、仄か浮かべた色が表情として象られることはもはや*ない*]
貴方はメモに記した彼の他にも誰かを…
暴かれたんでしょうか。
寒空の下に置き去りにしてきたんです。
………彼女は狼使いではありませんでした。
[黙祷にも似る瞑目だけを置き場を辞す理由を、語るともなく訥々と零すのは死の淵へ眠る故か。キィキィキィキィ…―――部屋を出る時には肩越しにヘイノを振り返り、見えやすいように開くよりは何をか遮断するように扉を閉めた]
…―――
/*
状況が揃わないとイェンニが動きにくいんじゃ
ないだろうかと思ってがんばったのですが、
状況先出しで後が難儀だわ嗄れるわで
結構えらいことです。しかし追悼愛は削れない。
― 村の中 ―
[ざりと雪を掻き 進む先
杖にこつり 当たる――硬い感触。
村の端 森の近く
ふんと鼻をひくつかせるけれど 温度の臭いは しない]
[雪の上に屈み、手を伸ばす。
布の感触。
ぺたり、ぺたり、触れる布は凍る程で
そのまま手を先まで進めて行くと
硬いもの]
…――帽子…?
…おや、新しいお仲間が来たようだね。
[肉体を失った者がこちらに来るのを
見つければ、いつものように
*手をあげて挨拶に代えた*]
ほんにのぅ。
死後ぐらい自由にさせてもらいたいもんじゃが……
[やれやれと肩をすくめて見せる。
つい癖で杖を握ろうとして、ただ、手を握っただけにおわり。]
さてのう……どんな事情なのかはわしにはわからんが……
けれど、あそこまで包囲しておいて此れだけ動くのが遅れた理由は、あるのじゃろうて。
[ヘイノ、という言葉に意識をそちらに向ける。
自宅で死んでいる家主の姿にふう、とひとつ頷き。]
そのようじゃのぅ。
誰かにころされたようにも見えぬが――はて、何があったのやら。
―???―
[引き裂かれた意識がまた結び始めたのはいつの頃か。
心残りで?
誰かの呪いで?
理由はない――今自分はまだ、村に居る。]
死んじまったなぁ――……
[思い出すのはトゥーリッキが"そう"だったこと。
約束の"一発"はそのまま致命傷。]
そういうんは、サービスって言わねえだろ。
[苦笑いしか浮かばないけれど――この地において今は寒さも痛みもなく、場を動くことも容易い。]
[同じくこの村に留まる死者の気配にか寄せられて。
もっとも――自分が知るのは報せを受けたウルスラと、自身の手で殺したビャルネの死だけ。
ビャルネには会いたくねぇな、と思考が望むのと、目の前に当人を見つけたのはどちらが先だったか。
共にウルスラが居たなら、生前同様、いつもの通り挨拶するのに肩竦めて――同じく手をあげる。]
[どことも知れぬまま、宙を漂い、村の中を眺めている。
ふと、新たにやってきた魂の気配に視線を向け。
そこに己を手にかけた相手の姿を見れば、口元をゆがめた。]
やはり、お主もやってきたか……
どうやら死したものはどのような死であってもとどめられるようだのぅ……
[いったいどのような神の悪戯なのかわからんが、と軽く肩をすくめた。]
…――……
――ラウリ、か……?
[倒れて居るひと。
足でも滑らせたか、それとも。
冷たい其れは、暗い場所では男でなくとも見落とすのかもしれない]
…――
[やはり、と言われるとばつが悪そうに少し視線を背けて。]
――本当に狼遣いじゃなかったみたいだな。
レイヨから聞いた。
[謝罪はそれでも紡がぬか――]
"いじめて"悪かったな。
[それは"殺し方"への謝罪。
殺したことへは誰にも詫びることは出来ないから。]
これも、誰かの呪いなのかも、な。
[等しく留まらされる現状にか呟きひとつ。]
レイヨは死せるものを見るまじない師のようじゃのぅ……
[静かに返す声は、殺されたことへは言及しない。
殺し方のみを謝る男にやれやれと肩をすくめて。]
ほんに、痛みを長引かせるやり方がうまいのぅ……
わしは狼使いではないが、狼使いが誰かはしっておったからのぅ……アレが続いて逐ったら白状してしまったかも知れんなあ。
[それはあたたかな室内で、雪の冷たさに体温と血を奪われなければの話。]
――呪い、か……村の者達の思いか……それとも、ドロテアかのぅ。
[一度、声を届けただけで沈黙している贄の娘にちらりと視線を向けた。]
まあ、よいわ……
どうやら村も、容疑者がへって浮き足立っているようだしのぅ。
どうなることやら、高みの見物をさせてもらうかの。
[くす、と小さく笑み、その場にとどまっている**]
――みたいだな。
[それを確信に変えたのは。]
褒められても嬉しくないスキルだな。
本来壊れたモンを直すのが仕事だってのに。
[その他、頼まれごとなら出来ることは――時に許容を超えてもぶっきらぼうにこなすのが日常。]
……知っていた?
何故。
[語尾上げぬ問いかけ。
たった二音に留めたのは意味に幅を持たせるため。]
[ドロテアに話が及べば視線を投げやり、死ぬ直前にトゥーリッキから"頼まれた"問いを脳裏に浮かべる。
ゆるく首を振り、続いたビャルネの声に思案げに瞬き]
容疑者、ね――俺は最悪……最悪の時は。
集められなかった他のヤツらが"確実に"安泰になるなら
容疑者丸ごと殺しちまってもいいんじゃないかと、
想ってたよ――言えなかったけどな。
[その場に留まるビャルネの近く、そんな言葉を落とした。]
書士 ビャルネは、ここまで読んだ。[栞]
――……。
俺も――ずっと気になってた、言葉ではあった、な。
[暫くの間の後。
ドロテアに向けて投げる言葉は呟きのよう。
"お気の毒様"と確かに彼女はそう言ったから。
長老のテントに呼ばれた日。自分はそれを見た。
気の毒なのは、誰もが彼女だと――そして彼女を差し出す
長老だと想っていたはずだから。
だから――]
"守らなかった"理由の一つが、その声だった。
長老を怖いと想った理由の一つが、その声だった。
[これから起こる疑心暗鬼と殺し合いにかけた言葉かと想えど ならば ――何故笑っていたのか と。
ビャルネやウルスラは何か言葉を発したか否か。
ただ、ドロテアに打ち明けるようでも、その場に居る死人に教えるようでもある声は]
――暴虐を阻む者。
力はマティアスに。そしてレイヨに。
お前には、使わなかった――謝罪は置かねぇ。
おもてがo(・x・o)
(o・x・)oおもてが
動かo(・x・)oない
コアとか諸々、あるかなー。
墓の住人も落ちたので俺も落ちるべきか
(寝れよ病み上がり ←まだあがってもいない
――気が向いたら、一つ答え、返してくれ。
俺の、"親友"が、
村のために身を捧げるならなんで――
毒を喰らっておかなかったのかと。
莫迦なことを言っていたから、 さ。
[答えを期待するようでもないのは、娘がまだ一度も言葉を発していないからに*他ならず*]
[ドロテアの幼馴染たる村娘から、レイヨが人手を
借りに赴いたらしいとは耳にするものの――――
車椅子の青年は誰も手助けを連れては来なかった。
何を訊く前に、蛇遣いは村の者に頼み、小さな
手曳きの橇を借受け、包んだウルスラを載せた。]
…誰を訪ねたのか知らぬが…レイヨ。
死んでいた、とでも言うつもりかね。
[横殴りになりはじめる風雪を浴びながら薮睨み。]
否、…話があるなら後にするか、同道しろ。
[蛇遣いは、首元へ戻した白蛇をまた温める態で
毛皮の下へ包み―――ぐ、と深くフードを被る。
手曳き橇のロープを掴み、負い曳くに滑りは軽い。
みるみる嵩を増す積雪の表面がやわらかくならぬ
内にと蛇遣いは眉根を寄せて奥歯を噛み骸を運ぶ。]
…っ …
[やがてウルスラの住まい、寝台の上へ苦労して
獣医を横たえる頃にはすっかり息が上がっていた。]
「おふろ(*ノノ)」
という接続メモを00:39に残しておきながら
湯をはるのを忘れていて入れなかったとか
秘密です
仕方ないから有田みかん食べてる。
肉親に死を望まれる、ひとカケラ分でも……
[視線を上げ、カウコの頬へ指先を滑らせる。
そこには触れる感じなどあるはずもなく]
あなた達にも、絶望はあった?
[明確な答えを口にしないまま、後ずさり俯く口元は、いつかと似た弧を描いた**]
[一度身震いをして、ぐし、と鼻のあたまを擦る。
憮然とした面持ちの蛇遣いは何かを探す態で室内を
見回し――獣医の記帳机にあった紙を手に取った。]
…耳印、オラヴィ。低体温…
…耳印、ヘイノ。低体温、酷い涙目…
…耳印、ヘイノ。低体温…
…耳印、ヴァルテリ。低体温、過眠症…
…耳印、ユノラフ。低体温…
[読み上げるそれには、ウルスラが診ていた馴鹿の
症状と持主―耳の切目にて知れる―が*並ぶ*。]
ウルスラ先生、…やっぱり…
[人手を求める間ヘイノの家の後に盲目のマティアスや屈強とは言い難いラウリも訪ねたが、どちらも留守であった。彼らが森の傍で会話せずも互いに近くある事も知らず、ひとり戻ればトゥーリッキの視線と言葉―――藪睨みに怯むより前髪に隠れる眉を顰めた]
………はい…
[本来なら人手すら連れて来れぬ侘びを紡ぐのだろうが、ヘイノの姿が脳裏を過ぎりただ同道に肯定を示した。少しでも手伝えればと橇引くロープを求めた差し出しに預かるものはあったか―――息あがるトゥーリッキではなく、横たえられたウルスラを見て息を吐く]
…………
[トゥーリッキが読みあげるトナカイの症状は、ウルスラの書き残したものだろう。項垂れ膝の上で握りこむ拳が震え、歯を食いしばった]
[矢継ぎ早に零される言葉。]
……答えになってねーな。
[ごちるも、問いを重ねることはなく。]
不安なら、お前を捧げる前からずっと。
無力さなら、お前を見捨てた時からずっと。
だから俺は一度も祭壇へは行かなかった。
[指先に滲む赤は何をも想わせず。
娘の赤散る花飾りに視線をやる。]
考えてしまったら――あるいは絶望したかもな。
肉親の死を心の底から望む者なんかいない……。
だからと言って、お前より長老が辛かった
なんて言う気はさらさらないけどな。
[後ずさり、いつかと同じ笑みを称えるに眉根寄せ]
お前の気持ちは、実際にそうならなきゃ実感出来んし
判るとか陳腐なことを言うつもりもない。
[右手で帽子を被り直すもあまり実感はなく。]
が、やはり――気の毒なのは、ドロテアだ。
[呟き、視線を落とした地には今はその冷たさも感じぬ*白*]
[使者の男は、ウルスラの死とその無実を伝えていった。ナイフをしまい、眼鏡と手袋は外しても――見た目は常より赤いまま。己が殺したと。明言しなかったとしても、相手には察せられただろう]
……必ずしも。
苦境を、惨事を、終わらせんと。
[長老に報せる時は、そう付け足して。雪を踏み締め、歩いていく。その足跡は既に赤くなくなっていた。はたと、立ち止まる。感覚を失いかけている両手を見つめ]
……
[ゆらりと、己の小屋へ向かった]
…「やっぱり」何でしょう。
[途切れるトゥーリッキの言葉に、のろのろと顔をあげる。キィ…―――車椅子は軋み、トゥーリッキに向き直った]
………ヘイノが……亡くなってました。
他にも亡くなった方がいるんでしょうか…
[先の言葉への返事も含めヘイノと近しく見えた相手に報せる態で、死者のある場で別の死を紡ぐ。直接的に誰かに殺された様子でない事は、言葉からも知れようか。
眠りの先で感じた気配を想い、語尾はあがらずも零す声は重い。ウルスラを肩越しに振り返り、そこにある死を前に眼鏡の奥の眼差しを*細めた*]
[己の小屋に帰り来ると、赤が散った髪と顔を濯いだ。赤く染まる雪解けの水。噴き出た血が雪に広がっていったように。眼鏡のレンズを磨き、かけ直して]
……、
[火を入れた暖炉の傍に椅子を置いて腰掛けた。
小さな小屋の中には、必要最低限といえる家財の他には、幾らかの書物しかない。
指先で首飾りを摘み、眺めるでもなく見る。やはりところどころに血が付いたそれの中心、錆び付いたタグの裏には、ごく小さく細い文字で男の名前が書かれている。――アルマウェル・“J”、と]
……終わらせなければ。
そうでなければ……
私も、死するか? ……
[炎へ視線を移し、呟いて。
瞼を下ろし――短い眠りへと*落ちる*]
[ウルスラの骸引く橇に、手伝いをと差し出される
レイヨの手へは――す、とビャルネの杖を渡した。
引手の弱さにふらつきがちな橇の軌道は、車椅子の
青年が後ろからその杖で進みゆく傾きを調整すれば
蛇遣いがひとりで引くよりも安定していただろう。]
…
[ウルスラの小屋にて…物言わぬ彼女のしかばねを
横たえた部屋にて。蛇遣いは、レイヨが歯噛みする
微かな音を聴く。憮然とした面持ちは変わらない。]
… ひとが、トナカイに。
病を伝染(うつ)しているのだ。
[「やっぱり」。続きを問う相手への応えは短い。
レイヨは反応でなく、新たな、そして思いがけぬ
死者のあることを告げた。蛇遣いは僅か目を瞠る。]
…? ヘイノの奴が、…死んでただと?
[集められた当初、ヘイノとの遣取りが周囲の目に
どう映ったか当人はしらず。ただ、寒がり同士の
応酬に蛇遣いがにこりともしなかったのは確かだ。
今は完全に気を取られるとはなくも、紛れもない
驚きを隠さずに眉根を寄せる。一度押し黙り――]
夕刻に会ってきたばかりだぞ? いったい…
…「殺されていた」わけではない、のか…
[他にもとレイヨが呈する可能性へは応えず。
蛇使いの指先は、机に置いたウルスラの記録を
ゆっくりと辿った。病気のトナカイの持ち主に
散見されるのは――誰あろう、ヘイノの名。
よくトナカイの傍に居て、絶えず撫でる男の。
毛皮を幾重にも着込み、寒い寒いと言う男の。]
――…
[険しくする面持ちの儘…レイヨを見遣った*]
/*
Wiki頁やプロロ導入の描写では、
トナカイは怯えまくってるのです。
だけど、ウルスラ先生が診ているトナカイは
全然怯えてないのですよね。そこへのレシーブ。
拾いかたとしてはチープになってしまったけれど、
今はこれが精一杯の愛。
[男は、多分ラウリであるであろう死体を、肩へと背負った。
ざくり、雪踏む足が深く沈む。
片手に杖と帽子を持ち、足を踏みだした]
寒い、な…――
[背負うものに語り掛けるかのように
独りごとにしては大きな声音を
びょう、と強く吹いた細雪混じりの風が攫って行く]
…色々、俺なりに、考えた…――
長老に報いられるのは、今だろう、と…
――だが、…
[肩の温もりなきものに、語る。
低い声音は低いまま 歩は遅い]
…お前は、傍観出来るなら愉しいと言ったが…
――傍観出来る立場でも、俺は、愉しいとは…思え…――
[ふと
ざくり踏む雪の感触に、足を止める。
積もる柔らかい雪の下に、踏まれ固められた感触が足裏に届く。
もう一歩踏む。
やはり、さくりの下に固まった雪]
…――?
[男は、自身の横に広がる森の方へと顔を向けた]
[そして向かった男は、見付ける事になる。
生(なま)の臭い。
シャリリとした細かい霜柱のような氷に触れれば、自身の体温で溶けたそれは、べたりとした粘ばつきと濃いにおいを届ける。
まだ凍り切らぬ臓は、触れると表面に這う氷が割れて指を押し返してくる。
白い雪の中 千切られた腸が伸びる様や
見返す事の無い抉られた眼窩を見れぬのは
男にとって幸いだったのか不幸だったのか。]
…――…、カウコ、か…?
[千切れた髪の束を掴み鼻まで持って行って匂い、
思い出すのは、――]
[元の持ち主の既にない受け取った杖にも役割にも慣れないせいで、手伝う間に杖は何度か覚束ない音を立てたかも知れない。預かった杖を膝に倒して乗せたまま、憮然としたトゥーリッキの面持ちを見る間に語られたやっぱりの内容]
…ひとの病が伝染るんですか。
だとしたら癒すべきは…―――
[ヘイノの事を報せてから、トゥーリッキが目を瞠る間に受けた簡潔な回答に零す思索の断片。報せる事実をなぞる声の語尾をあげられれば瞬きだけの頷きが答え、寄せられる眉根を見る]
…………
確かめた訳ではないのでわかりませんが…
殺されたようには見えませんでした。
[文盲の求道者は見えたとてトゥーリッキの読む内容は読めず、だからなのか覗く事もしなかった。ただ記された内容を確かめ険しくなる面持ちを前に、ヘイノの死を目の当たりにした時に感じた事を思い返す]
………彼は病で亡くなったんでしょうか?
彼がまじない師だったなら…
殺したのは僕かも知れないと思いました。
まじないがどれ程に身を削るかわかりませんが…
出来るなら調べて欲しいと言ったんです。
[既に殺される危険のなくなってしまったヘイノに感じていた断片を、誰を調べる事を望んだかは添えず訥々と零す。返されない問いへは問いを重ねる事はなく、思案に沈むでもなく想う様子]
………彼の事を長老に報せに行きます。
[ウルスラの事を報せに向かったアルマウェルが、既に長老へもヘイノの事も報せているかもとは考えたけれど。自らもわからぬ誰かの死を確かめようと口を開き、トゥーリッキはどうするだろうかと視線が問うた]
貴方はどうして病の事をご存知なんですか?
[ウルスラの小屋を出る前、預かった杖の握りを確かめ暫く飾りを見てから、返す折にトゥーリッキを見上げ投げた問い。じゃ、と杖の飾りは慣れぬ扱いに*歪な音を立てた*]
[『癒すべきは…――』
消え入る声の続きを、蛇遣いは引き取らない。
死因はヘイノを見つけたレイヨにわからないのなら、
まだ見ていない蛇遣いに確とわかる道理もなくて。
ただ目の前に在る記録と自身が知ることを照らし
病でなければ安心するとだけ曖昧に添えて置いた。]
…まじない師… あれがかね?
なるほど、それで――『初めからいらないし』か。
[ドロテアへ「この世に不必要なものなんてない」と
声をかけておいて、自らは守りの菓子をいらないと
吐き捨てた夜警の様子>>1:22を思い起こしつつ零す]
…聞きたくない報せばかり、耳に入る。
[独り言めいて吐息を落とすと、場を離れるらしき
レイヨの言にそうだなと頷く。自らも、凭れていた
机から身を離してもう一度ウルスラを視線で撫で…]
あたしは、イェンニのところへ。
[病の件を問われると、…ぐず、と鼻先へ啜る音を
立てる。それが応え。飾り杖を確と受け取って――]
若先生。
互いに、殺す機をはかるなら今だと思うよ。
[大蛇のとぐろで盛り上がった首周りへ、
顎先を埋めながらレイヨを見遣ったとき――
片手で開けた扉の外から、>>73
遠くなにものかの咆哮が上がるのが*聞こえた*]
あんたは、「変わらない」のだったな。
――さて… どうしたものかね…
[男がカウコであった塊の脇に居たのは
短くもあり 長くもある、時間だった。
手で解凍された赤を ちろと出した舌で舐め取ると、肩に背負ったラウリを背負い直し、ゆらりと足を踏みだした]
…――どうにも…――
[見えぬ眼が、熱い。
男の歩と杖の模様は、長老のテントへとゆっくりとしかし確実に、向かう]
― 長老のテント ―
…――村の外れに、これが。
あと、森の方に…――
[多分、カウコが。
消してはならぬ語尾も癖で消し、
男は一度唾を飲み込んでから声を出した。
手に、足に、融けた赤が付着したままに]
…――もう、俺には、
――長老、あんたの大事な村を護る方法は、ひとつしか、浮かばない…
…最初に浮かんだ、だが、実行するなら最後の…
[呟くように告げる男に、
長老は皺刻む顔に何を浮かべるか、見る事が出来ないのは幸いだと、思った]
そう…
ヘイノの奴が、病で死んだのでないといい。
骨鈴の―― お前は、違うよな。
どちらかと言えば、寒さには鈍いほうだった。
[死と滅びとに魅せられて、寒空に立ち尽くす
片割れの姿を思い起こしながら遣い手はつぶやく。]
[狼の遠吠えが遠くに、近くに。
血なまぐささはどこからともなく。
風に靡くままに任せる髪は乱れたまま。
それでもふわついた視線は何も変わらず]
…ねぇ姉様。姉様はホントに潔白?
また誰か、死んだ?また誰かが、殺した?
あぁ、皆ずるいわ……
私も、殺したいのに。
…ひとに取っては、
死病でもないと思ってたんだけどもな。
[突然の死を招くほどに重篤化するものなら。
トナカイたちに広まればやはり滅びは近いかと、
いまは自らのことは置くこととして蛇遣いは想う。]
こんなのが入ってごめんなさいと本気で土下座します。
人がせっかく暖めてきた村に参加するなら、それとおなじだけの誠意は必要ですよね。
本当に本当にすみません。
[ふらり。赤い色が見えないから。
誰が死んだのかも見えないから。
この村を守るほど、愛着があるわけでもなし。しかし居場所を自分から潰すほど、愚かでもなし]
……。
[村長のテントの向こう、出てくる人のアクセサリは見慣れた大きな「49」]
[男の体から、血の臭いはきっとする。
男の体に、赤はいくつも付着しているから。
男はテントから出て、ひとの気配に顔を向ける。
カラリ、耳元でプレートが鳴る]
…――、
[杖はやや無造作に歩く先の雪を掻く。
イェンニの方へと、ざくり、雪を踏む足は進め]
血のにおい…。貴方、誰か殺しなさった?
いい香り。うらやましいこと。
村長にご報告でもしていたの?
[杖を持つ手に軽く触れる。
自分の位置を教えるために。
すん、と香るものに、表情はいたくうっとりと]
/*
悩みすぎてるので経過は残すのでした。
レイヨ吊りイェンニ喰いがいい感じに
酷いと思うのですが無理な気がしています。
逆にすると吊り襲撃被りはなさそう。うーん。
描写順を逆にすればいいかなあ…
…――、
――いや、殺して居ない…
[イェンニの手が、ごつごつした自身の手に触れる。
うっとりとした表情は見えぬけれど
その声に いくらかの想像は出来て]
報告は、別だ。
ラウリとカウコが、死んだ。
そして…――
…此れから、殺す心算では居る。
――と、言ったら…?
[自身の手に触れるイェンニの細い手首を
左手で ぎゅっと 握った]
次は殺させて、というわね。
[言ったら、に続く返答は常と変わらず]
あの二人も死んだの。ラウリはともかく、カウコも?ビャルネ様の亡霊にでもやられたのかしら。恨まれるのは怖いことね
私を殺して貴方が得る益とは?
[手首を握られる感覚に僅か瞳を光らせて。同時に雪の反射できらめくのは腰に挿す銀色の鉈]
やられる位なら、逆に殺って差し上げてよ
……イェンニか。
根拠なんてないけど、あの女は――
危険な臭いがするね。
[やや緊張した面持ちで、
マティアスとイェンニのやり取りを眺める]
まるで、現実に生きている感じがしないんだよ。
[ウルスラの言葉に一拍の間を置き]
"赤"が――血のようだから好きだと、言った。
ビャルネを殺した後、
俺に「赤をありがとう」と言った。
あいつは、立場どうこうじゃなく、
――……べきだったかもな。
[抑えた声ば不穏なものでしかないけれど。]
そんな事を言ってたのかい。
[カウコの語るイェンニ。
彼女は想像していたよりも――]
赤が好きなのは勝手だけどさ。
殺してくれて有難うとは、……ない話だよ。
いくらこんな状態とは言えさ。
狼遣いでなくても、いずれは
同じ運命になってた気がするよ。
[拾われぬ言葉の代わりか、呼ばわりに片鱗を聴いたか。ヘイノへ想い巡らせるらしきには、口を挟まず添え置かれた言葉に自らも彼を想う。
ヘイノに対してそれ以上を語らずにも、トゥーリッキの言葉に思い返す一幕もあり。別へ向かうらしきには眼差しだけで答え、同行を求めはしない]
すみません………
[聞きたくない報せを報せた事へ詫びを零せども、トゥーリッキの鼻が立てる音と、呼ばわり―――答えに聴くものへ思索をはせる間もなく、告げられた次の言葉]
…どうしてと問うには少し相手が悪いでしょうか。
言ったはずです。
僕は貴方に奪わせたくはありません。
[カウコとドロテアのやりとりには口を挟まず。
ウルスラとの会話も聞いているが、声を発することはしない。
ラウリとヘイノがともに死んでいると聞けば眉根を寄せて。
その二人の姿もこの場にあるのだろうかと、探すように視線を漂白わせた。]
最初はあのオーロラを好きつってたから、
まあヨソ者だし、色彩として――それもありだと
想ってたんだが、な。
[同じく、ソレ以降は ない話だと。]
今のこの状況も、
合法的に人を殺せるようなもんだろーしな。
[イェンニがどこまで、本気で何をどう想ってるかなど、知るほど話したわけではないけれど。]
…益?
俺に…――個人に?
[…ふる、と一度頭を横に振る。
彼女の丁寧な言葉に、眉を上げる様子]
…お前だけじゃない…
――誰が此処に居ても、同じ事を、言った…
[銀色は、見えない――]
[ビャルネの言葉に考える前。]
――ビャルネは、
"あっち側"だったってことか?
すくなくとも"こちら"じゃなさそうだ。
[咎める色も特になく、閉塞的というのに苦笑い。]
……否定はしねぇさ、俺は此処に満足してただけだ。
[ビャルネの呟きが不意に聞こえた。
ふ、とする必要のない息を漏らしてそれに答える]
村を出たかったなら、好きに出たら
良かったんじゃないのか?
少なくとも、それを理由で村を滅ぼそうなんて……
私には、理解できないね。
[カウコの言葉には軽く頷いて同意を示す]
まさか、余所の人間がみんな
あんな感性でもないだろうしね。
命が失われるのが好きな割に、自分から
手を汚そうとはしないってのもアレだね。
何のために、何がしたいのかも――分かりゃしないよ。
…狼遣いが、消えればそれでいい。
――俺は、この「村」を護りたい。
…それは、益か…?
[ぐ、と。
イェンニの手首を握る手に、力を入れる]
………かえる心算がないなら…
もう一度だけお茶を振舞えれば幸いです。
わからなくともお話を伺いたいから…
[聞こえる咆哮にトゥーリッキから、冷気の流れ込む外へ向ける顔。何かはわからずも何事かが起こっている気配だけが感じられるから、前髪の奥で眉を顰める。
感じた死の片鱗には狼使いのものもあったと、それが誰かを確かめずとも伝えるべきと思う事。キィ…―――車椅子を進め、肩越しにウルスラを振り返った眼差しは流れ―――トゥーリッキに留まる]
…寝首をかかれても文句は言いません。
それなら安心ですから。
貴方に益がないならこの村に?
それとも狼に?
血のにおいが濃くなったわ。いい香り。
ねぇ、私にもそれを分けてくれるかしら。
[すらり。銀色は彼の喉元に微か、触れ]
私はこの村が食い尽くされてもかまわない。村の生欲より狼の食欲が勝っただけのこと。
私も同じことを言っていいのかしら。
皆、ほしいものを持っていってしまうから、イライラしてるの。
ねぇ?貴方、死ぬ気はなぁい?
守りたいのは貴方の「益」
私のほしい「益」じゃないわ。
[瞳をはっきりと見開いて。
彼には見えぬ、深い不快の色がひらめき]
……もしそうなら、此処は世界一平和だな。
[イェンニのような感性の人間が溢れた世界を少し想像して、眉間に皺を寄せた後、速攻で服を振る。]
手を汚す大義名分がありゃ、するだろ。
――たぶんな。
[吐き捨てるように呟くと、ふと空を見て]
結局、狼使いが何したかったのかが、わかんねーな。
滅びを望んでるようにも、見えなかった……
贔屓入って 見えなかっただけ、かもな――
[何を考えているのか、わからなかった。]
言わんこっちゃねぇ……
[イェンニとマティアスに息吐いて]
生きてても、これは守ってやれんな。
呪なんて、そんなもんだ――。
[目を逸らすつもりはない。
殺し合いなど、結果を見るまでわからないのだから。]
…ほしい「益」では無いなら、
「何故」問うた…?
[ひたりと 首元に触れる冷たいものは
雪でも手でも無い事は、知れる。
こくり 喉仏が一度動き 赤い血がぷつりと 浮いた]
…――死ぬ気、は。
…―お前が死んだ後なら、やぶさかでも、無い…
最終的には、村を丸ごと
狼に食らいつくさせるモンだとばっかり思ってたけどね。
でも、実際はああいう感じで
ただただ終わりのない殺戮を繰り返しているのかもねえ。
ここよりも平和な世界があることを祈るよ。
[そう言うとイェンニの方を示しながら]
……どうやら、大義名分なんてなくても
やる気だったみたいだよ。ほら。
あれが大義名分と言えるのかどうかも
私には分からないけどさ。
[そもそも 彼女が伏し眼がちな事も知らない。
彼女の見開いた瞳の色も、知らない。
それは幸か不幸かも、判る事は、無い。
知らぬ男は、彼女の手首を掴む手に力を入れ、
杖を持った手を前へと伸ばす――]
…欲しい物がもらえると思ったから。
綺麗ごとはまっぴら。失望も沢山。
守る、守らないではなくて。
どうして自分が生きたいからだと言わないの。
お飾りの言葉だけなら死んだ者が哀れだわ。
では貴方の命は私が予約。
[鉈を首から放すと、それを持ったままひそりと冷えた指をその喉元に滑らせて。指を染める赤を、びちゃりと音を立てて舐めとる]
…不味いわね。美味しくない。
[ますます力の入る腕に眉間を潜ませ。
その杖の行く末は瞳が追う]
…――…お飾り、きれいごと。
そう思うなら、…思うといい…
[僅かに言葉に含む色は、濃く低いもの。
ふ、とため息のようなものを、白く吐き]
…自分が生きたいからでないのに
自分が生きたいからだと言わなければ、
いけないのか…――?
…――嘘をつかねば哀れまれる、
死者もまた、哀しいものだな…?
[真っ直ぐに前へと差し出した杖。
飾り気の無い トナカイの蹄に覆われた先は
硬く 硬く 尖って居るのが見えるだろう。
そしてその手元もまた、同じように。
ぴちゃりと、舐める音に眉を顰めたまま、男はイェンニの手首を離さない]
…予約の前に、条件を言ったろう…
[杖の手元を、音から彼女の顔の位置を察知した上で
肩口へとあたりをつけて 振り降ろした]
そう思うからこそ私はこうなのよ。
その答え、虫唾が走る。
貴方、今日供犠の台に上られたら如何?
生きたがらぬ者が生きるとはね。
それこそ死者が哀れだわ。
生きたがらぬ者に殺されるものこそ、悲しすぎるわ。
ああ――…… あー、 やめた。
世界平和とか、俺が願う顔してねーだろ。
[何か気恥ずかしくなって帽子を深く被る。]
守る――ってのは、生きるだけじゃなくて
"生かす"意味があるのにゃ気付かないんだろーな。
…イェンニは。
……―――。
[過る顔はあったがそれも帽子の下。]
う。逃げられない。
えぇ(涙)これ振りほどいたら不自然よねぇ?確定とあまり変わらない気がががががw
つーかこんな参加状況で文句言ってすんません。
[開いた扉から聞こえた咆哮は、同じひとの耳持つ
レイヨに聞こえたか否か。感慨を浮かべて外を一度
見遣ったが――告げられる詫びへと緩く振り返る。]
詫びも聞きたくはないが、
耳に入ってしまったものは仕方がないな?
[彼の小屋へ招かれたときのように、
戸口の覆いを捲り上げて、レイヨの車椅子を通す。]
うむ、あたしに奪わせたくないなら――
【 ――がつん―― 】
時間を差し出せ、歩まぬレイヨ。
[蛇遣いの脚が、車椅子の背後から…
ティッピングレバーを思い切り蹴り下ろした。]
[跳ね上がった車体が戻る衝撃は、青年を
戸口の雪上へ投げ出すに充分な衝撃だろう。
レイヨが起き上がろうとするのを、力でなく
動作のみで制するように。彼の薄い胸板を踏む]
歩めるのだとしても――やめておけ。
そして、今宵は永らえろ。
[見下ろす瞳は、虎の如きいろをしている。]
これで… 安心だろう。
───っ!!
[肩に走るしびれるような熱に、
悲鳴は喉元で止まり溢れない]
あたしは、
殺されると約束した人が、いるのよ。
あんた なんか、に……
好きに願えばいいじゃないか。
願うだけならタダだし誰も損しないよ?
どっちかというと、カウコの顔だと
何を願うのが妥当なのか興味あるけどね。
[帽子を被る仕草についからかう口調になってしまう]
生かす意味……気付かないだろうね、あの調子だと。
正直、あれだけやりたくて仕方がない
「殺し」の意味にも気付いてないんじゃないかって思うよ。
……そういえば。
イェンニは妙にトゥーリッキを慕っていたようだけど。
もし死んだら、理解できるモンなのかねえ。
[不意に零れた疑問が口から*洩れた*]
………そうですか。
[耳に入ったものを想い小さく呟いて、いつかと同じように礼を籠めた眼差しを向け扉を潜る。がつん―――蹴り下ろされるティッピングレバーに跳ね上がり、半ば反射的にしがみ付くと、勢い余り回る車輪にカウコへ受け渡した血を流す傷口の残る指を取られた]
………っ
[ぱたた―――傷口が開き、溶けぬ雪の上に赤黒い血が落ち、振り落とされ雪に塗れ転がる。カラカラカラ…―――車輪を回す車椅子へ手を伸ばし、這いずりそれを起こした]
…時間は差し上げました。
足りぬのなら…
それもまた違うけど似ているのかも知れません。
…――可笑しい、な…
――俺には、お前の言葉こそが、
きれいごとに、聞こえる…
[どうやら振りおろした杖の手元は
うまく――そう、うまく彼女に当てられたらしい。
手首を強く握った侭、ぐいと引き寄せれば
彼女の持つ鉈は 果たしてどこにあるのだろうか]
…約束したひと、か。
――それは、すまないな…――
…………
[寄り着て己を踏む足を容れず厭わず、雪の上に再び付してトゥーリッキを見上げる。獰猛な獣のごときいろの眼差しを受け、滲む視界―――飛ばされた折に眼鏡は落ちたらしい―――を細めた]
………そうですね…
[押し殺す声は寒さにも別のものにも震えず、吐き出す息と共に刹那だけ冷たい大気を白く染める。視線で追わず傷口の開いた手だけで地面を探り、眼鏡を見つければかけ直す―――寝転ぶ正面には紅いオーロラ]
…ありがとうございます。
──離して!
[ガン、と痛みの衝撃が脳裏を掠めるから。
ゆがんだ視界で捕らえる彼に、振り下ろした鉈は空を切るかせめて髪でも奪えぬか]
私が綺麗言?そんなの、知らないわ。
私はしたいからするだけ。
貴方も同じではないの
「姉様」
[口元が痛みに声を伴わずそう動く。
こんな男に殺されたくなんてない。
約束は守って。姉様、と
今、頭がかろうじて回るとしたら
肩から流れ落ちる赤くて暖かい液体のせい
あぁ、勿体無い。雪に飲ませてやるなんて]
[男のべたついた髪が ひとふさ落ちる。
男が彼女の手首を離すのは、鉈が男の身体に埋められた時なのだろう、硬く硬く 握りしめて]
…―――おなじ、か、同じかもしれん…
――言葉を重ねて、誤魔化そうとしているのは
[引き寄せれば、彼女の首元の位置も判ろうか。
男は、杖を女の背で落としその首に 手をかけた
…俺、か…――?
[彼女の口唇が動くのを
男は、気づく事が出来ない。
掴んだ手首を引っ張り上げ その内側を一度 ちろ と 舐めた]
[男は程無くして目覚め――辺りへ視線をやった。ぼんやりとしたのは一瞬だけ。すぐに覚醒し切り、立ち上がる。暖炉の火を消してしまうと、小屋を出て]
……嗚呼。
[零したのは白い溜息一つ。冷えた空気を縫うように、緩慢な歩みで、雪の上を歩いていく]
願うだけなら、ね――……
せいぜい口にはせんようにする。
[からかう声に少し拗ねめく気配。]
"殺し"の意味――生かす意味がわからなきゃ
わからないんじゃないかね。
トゥーリッキは……
[口に出し、言葉は飲んだまま。
今はイェンニとマティアスを見て*いる*]
[青年の胸へ載せた脚は、鋭い動作ですぐに引く。
溢れる赤が新雪をよごすと、蛇遣いは眉を顰めて
粉雪塗れのレイヨを咎める如き面持ちで見遣った。]
…あまり、それを零すな。
おおかみを遠ざけるに難儀する。
[差し上げましたと口にする彼へ、それでも鷹揚に
頷いて――厚い毛皮を首元へ掻き寄せ背を向ける。]
いざという折に力が出ぬでは…
庇ってくれたカウコに、申し訳が立たん。
…イェンニに、会いにゆくのだ。
約束を果たしたなら、訪ねよう。
[横殴りの風雪、激しくなりゆく吹雪。
ぐず、と鼻先へ音を立て蛇遣いは足を早めゆく。]
礼の仕返しと、
時が足りぬかどうかは――その折に*。
この、下種……──!
汚らわしいにも程があるわ!
[舐められた手首に、彼には見えなくとも、誰にも見せたことのないほどの嫌悪の表情をさらして。
鉈を持つ手に力は入らない。
ドサ、と音がするのはそれを落とした音。
得物を失った手は彼の頬をはたこうと再び振り下ろす]
姉様…姉様、姉様……!
本当に…―――
………困ったものです。
[差し出したものと同時に貰いうけたものを想えども紡がず、車椅子から転げ落ちた求道者はわらわない。冗談めかぬ口調で訥々と夜気に零し、トン、と宥めず労う態で胸元から引き上げる足を叩き、苦しげに息を吐いた]
………はい…
早く行って下さい。
[のろのろと緩慢な動作で身を起こし、指摘を受けた指先を口に含む。紅い、鉄にも似る、ちの味]
いってらっしゃい。
[再会を願う見送りの言葉を添え、トゥーリッキを引き留めはしない。暫くは空けぬ夜の下、車椅子に寄りかかり紅いオーロラを仰いでいたか*]
[ぱああん、と、冷たい空気の中
頬を叩かれた音がやけに響く。
彼女の嫌悪の声に 男は
口元に歪んだ笑みを、浮かべた]
…――女の悲鳴を、近くで聞くのは、
――ひさしぶりだ…
[くくく と 喉奥で音を立てる。
叩かれたままの角度で頭を止め]
[いつの間にか戸外に出てきたマティアスの犬は。
円な瞳を輝かせ――ころころと転がるように駆ける。
あん
――ひと鳴きと共に、跳躍。
ひとの血肉の味を覚えた仔犬が、喰らいつこうと
おさないながらに鋭くも鈍いその牙を向ける先は]
[女の手首を舐めたばかりの、*盲男の紅い舌*]
カウコ…―――
[去ったトゥーリッキの紡いだ名をなぞり、彼の死を未だはっきりとは知らずも、舌の上に広がる血の味に想う事。地を踏まず腕だけでやっと車椅子に戻る折、そこに小さなナイフを見た]
…………
…もう申し訳は立たないんじゃないかな。
[狼を遠ざけるのに難儀すると零したトゥーリッキをいかせ、車椅子に座す求道者は呟く。キィキィキィキィ…―――血の滲む指先は冷えて感覚も鈍いのは幸いか、激しくなる吹雪の中を長老のテントへ向かい進む]
[あまりの嫌悪と、屈辱感と痛みと。
ぎりぎり歯軋りする表は別人の如く。
息をすることすら忘れる程の感覚で、意識はそのまま飛びそう。
甲高く響く子犬の声が聞こえたか否か*]
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